福岡市博多区の喧騒の中に佇む承天寺は、1242年創建の臨済宗東福寺派の古刹です。

博多の歴史と文化を色濃く反映し、日本にうどんとそば、そして饅頭を伝えた寺としても知られています。

承天寺の歴史

承天寺の創建は鎌倉時代、博多が宋(中国)との貿易で栄えていた頃まで遡ります。当時、博多には多くの宋人が住んでおり、その一人である貿易商・謝国明が、故郷を偲んで禅寺を建立することを発願しました。

謝国明は、中国の高僧を招いて開山とすることを望み、時の執権・北条時頼に願い出ました。時頼はこれを許可し、宋に渡って高僧を探しました。そして、見出したのが円爾弁円(聖一国師)でした。

円爾は、宋で禅宗を学び、帰国後は京都に東福寺を開いた名僧です。彼は謝国明の願いを受け入れ、承天寺の開山となりました。

円爾は、禅宗を広めるだけでなく、宋の文化を日本に伝えることにも尽力しました。その一つが、うどん、そば、饅頭の製法です。円爾は、これらの製法を宋から持ち帰り、境内で栽培した小麦を使って、うどん、そば、饅頭を作りました。そして、それらを博多の人々に振る舞い、広く普及させたと言われています。

承天寺は、禅宗寺院としてだけでなく、国際交流の拠点としても重要な役割を担っていました。しかし、その後、火災や戦乱により、何度か焼失の憂き目に遭います。現在の伽藍は、江戸時代以降に再建されたものです。

承天寺の見どころ

  • うどん・そば発祥の地: 承天寺は、日本で初めてうどんとそばが作られた場所と伝えられています。円爾弁円が宋から製法を持ち帰り、境内で栽培した小麦を使ったのが始まりとされています。
  • 饅頭発祥の地: うどん・そばだけでなく、饅頭も承天寺が発祥の地とされています。円爾弁円が宋から持ち帰った饅頭を、博多の人々に振る舞ったのが始まりと伝えられています。
  • 洗濤庭(せんとうてい): 通常非公開の枯山水庭園。秋の特別公開では、ライトアップされた幻想的な庭園を鑑賞できます。
  • 山門: 重厚な佇まいの山門は、江戸時代初期に再建されたもので、福岡県の重要文化財に指定されています。

承天寺の基本情報

項目内容
正式名称萬松山 承天禅寺
宗派臨済宗東福寺派
創建1242年(仁治3年)
開基謝国明
開山円爾弁円(聖一国師)
所在地福岡県福岡市博多区博多駅前1丁目29-9
アクセス* JR博多駅から徒歩約10分 * 福岡市地下鉄祇園駅から徒歩約5分

よくある質問

Q. 洗濤庭は、いつでも見学できますか?

A. 洗濤庭は通常非公開です。毎年秋に開催される「博多ライトアップウォーク」などのイベント期間中に特別公開されることがあります。承天寺の公式ウェブサイトや、博多観光案内所などで最新情報をご確認ください。

Q. うどんやそば、饅頭は、どこで食べられますか?

A. 承天寺境内では、うどんやそば、饅頭を食べることはできません。しかし、承天寺周辺には、うどんやそばの老舗店や、饅頭の名店がたくさんあります。ぜひ、博多の味を堪能してみてください。

承天寺周辺の見どころ

承天寺の周辺には、博多の文化と歴史を感じられるスポットが数多くあります。

  • 博多千年門: 博多の歴史的な町並みを再現した門。承天寺から徒歩すぐの場所にあります。
  • 櫛田神社: 博多の総鎮守として知られる神社。承天寺から徒歩約10分。
  • 東長寺: 福岡藩主・黒田家代々の菩提寺。承天寺から徒歩約15分。

まとめ

承天寺は、博多の歴史と文化を語る上で欠かせない存在です。うどん・そば、饅頭発祥の地としての逸話や、美しい庭園など、見どころも豊富です。博多を訪れた際には、ぜひ承天寺に足を運んでみてください。

By kyushutv

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