
神の使いが、夜の闇にやってくる。
佐賀市の蓮池町見島(みしま)地区で、350年以上ひっそりと、しかし力強く受け継がれてきた奇祭があります。
それが**「見島のカセドリ」**です。
2018年、ユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとして登録され、世界的な注目を集めるこの行事。
2026年は2月14日の夜、藁(わら)をまとい顔を隠した「神の使い」たちが、激しい竹の音と共に人々の厄を払います。
1. 床を打ち鳴らす!悪霊退散の儀式
カセドリの最大の特徴は、その独特な見た目と激しい所作にあります。
- 異形の神の使い:主役となる青年2人は、頭に白布をかぶって顔を隠し、体には藁蓑(わらみの)をまといます。その姿はまさに、異界から訪れた「来訪神(らいほうしん)」そのものです。
- 激しい竹の音:彼らは長さ約1.7メートルもの青竹を抱え、神社の拝殿に駆け込みます。そして、先端を細かく割った竹(ササラ竹)を、床に**「バシッ!バシッ!」**と激しく打ちつけます。静かな夜の神社に響き渡るこの破裂音が、悪霊を追い払い、家内安全や五穀豊穣をもたらすと信じられています。
2. 集落を巡る「福」の訪問
熊野権現社での奉納が終わると、カセドリたちは集落へと繰り出します。
提灯や天狗面を持った一行、そして「かごにない(籠担ぎ)」役の少年たちを引き連れ、地区の家々を順番に回ります。
家の中でも同じように床を竹で打ち鳴らし、その家の一年の無事を祈願します。この竹のささくれ(カセ)が、皮膚病(カサ)を取り除くという言い伝えも残っています。
世界が認めた「来訪神」
「見島のカセドリ」は、秋田の「ナマハゲ」などと共に、2018年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
派手な観光イベントではなく、地域の人々が大切に守り続けてきた厳粛な信仰の形。
日本の原風景とも言える、神と人とが交わる瞬間を目の当たりにできる貴重な機会です。
Editor’s Note: 見学のマナー
カセドリは地域の神聖な神事であり、観光ショーではありません。見学の際は、行事の進行を妨げないよう、また私有地や家屋への無断立ち入りをしないよう、節度ある行動をお願いします。静寂の中で響く音に耳を澄ませましょう。
基本情報 (Access & Info)
| 項目 | 詳細 |
| 行事名 | 見島のカセドリ(国指定重要無形民俗文化財) |
| 開催日時 | 2026年2月14日(土) 19:00~21:00頃 |
| 開催場所 | 熊野権現社 および 見島地区一帯 |
| 住所 | 佐賀県佐賀市蓮池町大字蓮池(見島地区) |
| 見学料 | 無料 |
| アクセス | JR「佐賀駅」バスセンターから市バス(蓮池線)乗車、「芙蓉校前(ふようこうまえ)」下車、徒歩約5分 |
| 駐車場 | 近隣に臨時駐車場などが設けられる場合があります(要確認) |
| お問い合わせ | 0952-40-7369(佐賀市地域振興部文化財課) |
| 公式サイト | 佐賀市公式ホームページ |
よくある質問 (FAQ)
Q. 雨天時はどうなりますか?
基本的には雨天決行ですが、荒天の場合は内容が変更になる可能性があります。また、神事であるため天候にかかわらず厳かに行われます。
Q. 写真撮影は可能ですか?
可能ですが、フラッシュの使用や三脚での場所取りなど、神事の妨げになる行為は控えましょう。特に夜間のため、足元と周囲への配慮が必要です。
Q. 「カセドリ」という名前の意味は?
諸説ありますが、竹のささくれを意味する「カセ」を取る(鳥)、つまり皮膚病(カサ)や厄災を取り除くという意味から来ていると言われています。
【まとめ】
世界遺産にもなった日本の伝統行事。
凍てつくような2月の夜、床を打つ竹の音が、あなたの心の澱(おり)も一緒に祓ってくれるかもしれません。
佐賀の隠れた名祭「カセドリ」で、厳かな夜を体験してみませんか?