
矢が的を射抜く音が、一年の運命を決める。
大分市横尾の二目川(ふためがわ)地区。
のどかなこの地域で、毎年1月20日に室町時代から600年以上も続く厳粛な神事が行われます。
それが、大分市の指定無形民俗文化財にも登録されている**「二目川百手祭(ふためがわももてさい)」**です。
五穀豊穣と無病息災を願い、地区の代表者が弓矢で的を射てその年の吉凶を占う、歴史と地域の絆を感じる伝統行事をご紹介します。
1. わずか3mの真剣勝負!吉凶を占う「的射」
この祭りの最大の見どころは、古式ゆかしい衣装に身を包んだ男たちが弓を引く**「的射(まとい)」**の儀式です。
- 頭人と頭前:この地区にある57戸の家が持ち回りで、その年の祭主である「頭人(とうにん)」と、翌年の祭主となる「頭前(とうまえ)」を務めます。
- 至近距離の緊張感:的までの距離は約3メートル。近いように感じますが、神事としての独特の緊張感が漂います。
- 太鼓と歓声:矢が見事に的の中心(星)を射抜くと、「ドン!」と太鼓が打ち鳴らされ、見守る地域住民から「おーっ!」と歓声が上がります。この的中数が多いほど、その年は豊作で縁起が良いとされています。
2. 地域で守り抜く「結(ゆい)」の心
二目川百手祭は、単なるお祭りではありません。57戸の家々が長い歴史の中でバトンを繋いできた、地域の団結の象徴です。
- 600年の歴史:起源は室町時代にまで遡ると言われています。戦乱の世や時代の変化を乗り越え、形を変えずに今日まで受け継がれてきたことは、奇跡的とも言えます。
- 神楽の奉納:的射だけでなく、地元の「二目川神楽」も奉納され、笛や太鼓の音色が祭りに彩りを添えます。地域の人々が総出で準備し、祝う姿からは、日本の原風景のような温かさを感じることができます。
Editor’s Note: 素朴な温かさに触れる
観光用につくられた派手なイベントとは異なり、あくまで「地域の神事」です。だからこそ、飾らない地元の方々の表情や、厳粛な空気感を肌で感じることができます。見学の際は、神事の進行を妨げないよう静かに見守りましょう。
基本情報 (Access & Info)
| 項目 | 詳細 |
| 行事名 | 二目川百手祭(ふためがわももてさい) |
| 開催日 | 2026年1月20日(火) ※毎年同日開催 |
| 開催場所 | 大分県大分市横尾 二目川地区(二目川公民館・神社周辺) |
| 文化財指定 | 大分市指定無形民俗文化財 |
| 内容 | 的射による吉凶占い、神楽奉納など |
| アクセス | JR「大分駅」からバス(一里塚行き等)で約20分、「二目川」バス停下車すぐ |
| 駐車場 | なし(公共交通機関をご利用ください) |
| お問い合わせ | 097-537-5670(大分市教育委員会 文化財課) |
よくある質問 (FAQ)
Q. 雨の日でも行われますか?
基本的には雨天決行です。公民館や神社の境内などで行われるため、天候にかかわらず神事は執り行われます。
Q. 「百手(ももて)」とはどういう意味ですか?
一般的に「百手」とは、数多くの射手が揃って弓を射る儀式のこと、あるいは一手(矢2本)×50回で百本射ることに由来すると言われます。悪霊を払い、豊作を祈る予祝行事として西日本各地に伝わっています。
Q. 観光客も見学できますか?
はい、見学可能です。ただし、地域住民が主体となって行う神事ですので、マナーを守り、指示があった場合はそれに従ってください。
【まとめ】
3メートルの距離で放たれる矢に込められた、一年の願い。
室町時代から変わらぬ祈りの形が、ここ大分市横尾には息づいています。
1月20日は、二目川で日本の伝統文化の深さに触れてみませんか?