城下町・長府の中心に鎮座する、1800年の歴史を誇る古社。

長府の商店街を抜けた先に、堂々たる鳥居を構える「忌宮神社」。

ここはかつて、第14代・仲哀(ちゅうあい)天皇が7年間にわたり政治を行った**皇居「豊浦宮(とよらのみや)」**があった場所です。

古代のロマンと、夏に繰り広げられる熱狂的な「天下の奇祭」で知られる、下関屈指のパワースポットをご紹介します。


1. 天皇が暮らした「皇居跡」の聖地

忌宮神社の最大の特徴は、ここが神社である以前に「皇居」であったという点です。

由緒によれば、仲哀天皇が九州の熊襲(くまそ)を平定するために西下した際、この地に仮の皇居(豊浦宮)を興しました。

天皇の崩御後、神功皇后(じんぐうこうごう)がその御神霊を祀ったのが神社の始まりとされています。

  • 社名の由来:「忌(いみ)」という文字には、「忌み嫌う」という意味ではなく、**「斎(い)み=身を清めて神様に仕える」**という神聖な意味が込められています。
  • 境内は歴史の宝庫:境内には、ここが「蚕(かいこ)が初めて日本に渡来した地」であることを伝える記念碑や、数多くの貴重な文化財を収蔵する「宝物館」があり、散策するだけで日本の歴史の深淵に触れることができます。

2. 8月の熱狂!天下の奇祭「数方庭祭」

忌宮神社を語る上で外せないのが、毎年8月7日から1週間続く夏祭り**「数方庭祭(すほうていさい)」です。

1800年の歴史を持ち、市の無形民俗文化財にも指定されているこの祭りは、まさに「天下の奇祭」**。

  • 竹を担いで練り歩く:「鬼石」と呼ばれる石の周りを、男性たちが長さ数十メートルにもなる大幟(のぼり/竹竿)を担いで、「ヨイショ!ヨイショ!」と掛け声を上げながら回り続けます。
  • 戦勝祈願が起源:仲哀天皇が敵を撃退した際の戦勝祝いが起源とも言われており、その勇壮で独特な光景は、見る者を圧倒する迫力があります。

Editor’s Note: 境内には「鶏」がいる?

忌宮神社の境内に入ると、立派な尾長鶏(オナガドリ)やチャボが放し飼いにされているのに気づくでしょう。彼らは「神様の使い」として大切にされています。人懐っこい彼らとの出会いも、この神社の隠れた楽しみの一つです。


基本情報 (Access & Info)

項目詳細
神社名忌宮神社(いみのみやじんじゃ)
住所山口県下関市長府宮の内町1-18
拝観境内自由(24時間)
宝物館要確認(有料・開館時間あり)
アクセスJR「下関駅」からバス約23分、「城下町長府」下車、徒歩約5分
駐車場あり(境内駐車場・無料)
お問い合わせ083-245-1093

よくある質問 (FAQ)

Q. 「城下町長府」バス停からの行き方は?

バス停を降りて、長府観光会館や商店街のある方向へ少し歩くと、大きな鳥居が見えてきます。平坦な道で、徒歩5分ほどで到着します。

Q. 「数方庭祭」はいつ見に行けばいいですか?

毎年8月7日から13日までの毎夜行われています。特に夜になると熱気が高まり、長い竹竿(切籠)がしなる様子は幻想的かつ迫力満点です。

Q. 近くにおすすめのスポットはありますか?

神社のすぐそばには「乃木神社」や、おしゃれなカフェが点在する「城下町エリア」、少し歩けば「功山寺」や「長府庭園」があります。忌宮神社を起点に長府散策をするのがベストルートです。


【まとめ】

古代の天皇が政(まつりごと)を行った場所で、今は市民が熱狂する祭りの舞台。

静寂と熱気が同居する「忌宮神社」は、長府の歴史を語る上で欠かせない中心地です。

境内の鶏たちに挨拶しながら、1800年の歴史を感じてみてください。

By kyushutv

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