オフィス街の片隅に、かつて人魚が漂着した「海」があった。

博多駅から地下鉄でわずか1駅、ビジネスビルが立ち並ぶ祇園エリア。

ここに、名前からして異彩を放つお寺**「龍宮寺(りゅうぐうじ)」があります。

一見すると街中にある普通の小さなお寺ですが、実はここ、「日本で唯一、人魚を埋葬した」**とされる伝説を持つ、知る人ぞ知るパワースポットなのです。

なぜ街の真ん中が「龍宮」なのか? 本当に人魚の骨はあるのか?

博多の歴史ミステリーに迫る、深掘りレポートをお届けします。


1. 核心に迫る:「人魚伝説」と「人魚の骨」

このお寺最大の特徴は、あまりに具体的すぎる人魚の伝承と、その証拠とされる「骨」の存在です。

  • 鎌倉時代の「瑞兆」:伝説によると、貞応元年(1222年)、当時の博多湾で漁師の網に巨大な人魚がかかりました。不吉に思った人々が占わせたところ、「国家長久の瑞兆(素晴らしい吉兆)」というお告げが出たため、人魚は手厚く埋葬されました。その際に、もともと「浮御堂(うきみどう)」と呼ばれていたこの寺が、人魚にちなんで**「龍宮寺」**と改名されたと伝えられています。
  • 実在する「人魚の骨」:本堂には、今も寺宝として**「人魚の骨」が保管されています。さらに、江戸時代にはこの骨をタライの水に浸し、その水を「不老長寿・無病息災の霊水」**として参拝客に振る舞っていたという記録も残っています。(※骨は通常非公開ですが、秋の「博多旧市街ライトアップウォーク」などのイベント時に特別公開されることがあります)

2. 境内散策:「人魚塚」と「山笠の発祥」

こじんまりとした境内ですが、見逃せない歴史スポットが点在しています。

  • 人魚塚(人魚の墓):本堂の横にひっそりと立つ石碑には「人魚塚」と刻まれています。ここが人魚の埋葬地とされており、手を合わせる歴史ファンの姿も見られます。
  • 博多七観音の一つ:ご本尊の「聖観音」は、豊臣秀吉の時代から続く「博多七観音」の一つに数えられており、毎年7月17日の夏祭りには多くの参拝客で賑わいます。
  • 山笠発祥の地?(葛城地蔵):境内の角にある「葛城地蔵尊」周辺は、博多祇園山笠の発祥に関わる場所とも言われています。鎌倉時代、疫病退散のために聖一国師がここから祈祷水を撒いて回ったことが、山笠の起源とする説があるのです。

3. 歴史:「ここはかつて海だった」

現在の龍宮寺は、大博通り沿いの内陸部にありますが、なぜ「龍宮」なのでしょうか?

  • 袖の湊(そでのみなと):実は鎌倉時代、この辺りまで博多湾の海岸線が入り込んでいました。平清盛が開いた日本最古の人工港「袖の湊」がこの付近にあり、龍宮寺(旧・浮御堂)は海に突き出たお堂だったと考えられています。今あるコンクリートの道の下には、かつて人魚が泳ぎ着いた古代の海が広がっていたのです。そう想像すると、街の見え方が変わってきませんか?

基本情報 (Access & Info)

項目詳細
寺院名冷泉山 龍宮寺 (Ryuguji Temple)
宗派浄土宗
所在地福岡県福岡市博多区冷泉町4-21
拝観境内自由(本堂内・人魚の骨の拝観は通常不可、要確認)
アクセス地下鉄空港線**「祇園駅」**2番出口から徒歩約1分
JR博多駅から徒歩約10分
駐車場なし(周辺のコインパーキングを利用)
見どころ人魚塚、人魚の骨(特別公開時のみ)、人魚の掛け軸(レプリカ展示の場合あり)

よくある質問 (FAQ)

Q. 「人魚の骨」はいつでも見られますか?

A. いいえ、通常は非公開です。本堂の扉も閉まっていることが多いですが、秋に開催される**「博多旧市街ライトアップウォーク」**や、7月の「観音夏祭り」などの特別なイベント時に公開されるケースが多いです。訪問前に最新のイベント情報をチェックすることをおすすめします。

Q. 御朱印はいただけますか?

A. はい、寺務所にて御朱印をいただくことができます。「人魚塚」の印が入った珍しい御朱印が授与されることもあります(※住職不在時は書き置き対応などの場合あり)。

Q. 近くに他の観光スポットはありますか?

A. はい、すぐ近くに「日本一大きな木造大仏」がある東長寺や、日本最初の禅寺である聖福寺、博多の総鎮守櫛田神社があります。これらは全て徒歩圏内ですので、あわせて巡るのが博多旧市街観光の王道ルートです。


【まとめ】

龍宮寺は、博多が「海とともに生きてきた街」であることを証明するタイムカプセルのような場所です。

人魚の伝説に思いを馳せながら、オフィスの谷間に眠る龍宮城へ、静かな探検に出かけてみませんか?

地下鉄「祇園駅」から徒歩1分。見落とさないようにご注意を!


By kyushutv

九州のイベント•地域情報をお伝えするWebメディア「九州TV」です。