写真提供:福岡県観光連盟

福岡県糸島市、標高955mの雷山中腹に佇む「雷山千如寺大悲王院(らいざんせんにょじ だいひおういん)」は、約1800年の歴史を持つ九州屈指の古刹です。

そのハイライトは、樹齢400年を超える国指定天然記念物「大楓(おおかえで)」と、堂内を圧する高さ4.6mの「十一面千手千眼観世音菩薩(重要文化財)」。紅葉の絶景スポットとして名高いだけでなく、古くから「身代わり観音」として信仰を集める、厳格かつ慈悲深い祈りの道場です。


1. 息をのむ赤!樹齢400年「大楓」の生命力

境内に入ってまず圧倒されるのが、福岡県指定天然記念物の大カエデです。

  • 圧倒的なスケール: 樹齢約400年。幹周りは大人が何人も手を繋ぐほどの太さがあり、うねるように広がる枝ぶりは生命力の塊。
  • 「動」の紅葉: 11月中旬から下旬にかけて、この巨大な木が燃えるような真紅に染まります。地面に這う力強い根と、頭上を覆う赤い空のコントラストは、スマホの画面に収まりきらないほどの迫力です。
  • ビャクシンの古木: 大楓の奥には、さらに歴史が古い樹齢600年以上のビャクシン(香木)があり、龍が昇るようなねじれた幹が神秘的な雰囲気を醸し出しています。

2. 高さ4.6m!見上げる「十一面千手千眼観世音菩薩」

大講堂の奥深くに安置されているのが、この寺の魂とも言えるご本尊です。

  • 鎌倉時代の巨像: 像高約4.6メートル。木造(檜の寄木造り)の千手観音としては国内屈指の大きさです。
  • リアル千手: 通常の千手観音は手を省略して表現されることが多いですが、この像は実際に無数の手を持っており、その迫力は圧巻。
  • 身代わり信仰: 「身代わり観音」として、病気や厄災など人々の苦しみを代わりに引き受けてくれるとされています。
  • 僧侶の解説: 拝観時には僧侶の方が案内してくれます。厳格な道場でありながら、ユーモアを交えた分かりやすい解説が評判で、仏像初心者でも親しみを感じられます。

3. 「サムハラ」のお守りと1800年の歴史

雷山千如寺は、知る人ぞ知る強力なパワースポットでもあります。

  • 最強の厄除け「サムハラ」:ここで授与されている「サムハラ」の御符は、厄除け・災難除けに強力な効験があるとされ、全国から求めに来る人が絶えません。(※「サムハラ」は漢字変換が難しい神字です)
  • インドからの風:創建は約1800年前(西暦178年)。インドから渡来した清賀上人(せいがしょうにん)によって開かれました。かつては300もの僧坊が並ぶ巨大な山岳仏教都市でしたが、戦国時代の戦火を経て、江戸時代に黒田藩主・黒田継高によって復興されました。

4. 静寂のアート「心字庭園」と「五百羅漢」

本堂の裏手や斜面には、静かに自分と向き合える空間が広がっています。

  • 心字庭園(しんじていえん):室町時代の作庭手法を取り入れた庭園。「心」の字をかたどった池の周りをモミジやツツジが彩ります。縁側に座って庭を眺める時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれる贅沢なひとときです。
  • 五百羅漢(ごひゃくらかん):苔むした斜面に並ぶ無数の石像。一つとして同じ顔はなく、「自分や親に似た顔が必ずある」と言われています。笑っている顔、怒っている顔、様々な表情を探してみてください。

攻略Tips & よくある質問(FAQ)

  • Q. 拝観料はかかりますか?
    • A. 入山料(庭園・大楓などの外観)は大人100円。本堂内(仏像拝観)へ入る場合はさらに大人400円が必要です。
  • Q. 紅葉シーズンの混雑は?
    • A. 11月の週末は非常に混雑します。山道での渋滞が発生するため、**早朝(9時の開門直後)**の訪問を強くおすすめします。
  • Q. 写真撮影は可能ですか?
    • A. 境内の大楓や庭園は撮影可能ですが、本堂内(仏像など)は撮影禁止の場合が多いため、現地の指示に必ず従ってください。

雷山千如寺大悲王院 基本データ

項目内容
名称雷山千如寺大悲王院(らいざんせんにょじ だいひおういん)
住所福岡県糸島市雷山626
拝観時間9:00~16:30
拝観料入山料:大人100円(11月のみ)
本堂拝観料:大人400円
駐車場あり(無料・約150台)※紅葉期は臨時Pあり
アクセス西九州道「前原IC」より車で約20分
※公共交通機関は不便なため、レンタカー推奨
お問い合わせ092-323-3547
公式サイト雷山千如寺大悲王院 公式HP

まとめ

おしゃれなカフェや海が注目されがちな糸島ですが、山側にはこんなにも深く、美しい世界が広がっています。

樹齢400年の大楓が散らす紅葉の絨毯と、圧倒的な千手観音の慈悲。「サムハラ」のお守りを手に入れて、心身ともにリフレッシュする旅へ出かけませんか?

By kyushutv

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