世界遺産に登録されたレンガ造りのポンプ室を見に行こう!
福岡県中間市にある「遠賀川水源地ポンプ室」は、明治時代に建設された、八幡製鐵所(現・日本製鉄)の送水施設です。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、世界遺産に登録されました。
この記事では、遠賀川水源地ポンプ室の歴史や見どころ、アクセス情報などを詳しくご紹介します。
遠賀川水源地ポンプ室の歴史
製鐵所と水不足
明治時代、日本の近代化を支える産業として、製鐵業が急速に発展しました。官営八幡製鐵所は、国内初の近代製鐵所として、1901年に操業を開始しました。
製鐵には、大量の水が必要となります。しかし、八幡製鐵所のある北九州市八幡東区は、水資源が乏しい地域でした。そこで、近隣の河川から工業用水を確保する必要がありました。
水源地の選定とポンプ室の建設
当初、八幡製鐵所は、板櫃川を水源としていました。しかし、製鐵所の拡張に伴い、水不足が深刻化しました。そこで、新たな水源として選ばれたのが、水量の豊富な遠賀川でした。
1906年、遠賀川から水を引くための施設として、遠賀川水源地ポンプ室の建設が開始されました。設計は、イギリス人技師のヘンリー・ダイアーが担当しました。ダイアーは、イギリス式のレンガ造りのポンプ室を設計し、当時としては最新鋭の設備を導入しました。
操業開始と動力源の変更
1910年、遠賀川水源地ポンプ室は操業を開始しました。送水設備の動力は、当初は蒸気でしたが、1915年には電気に変更されました。これにより、ポンプ室の効率は飛躍的に向上しました。
世界遺産への登録
遠賀川水源地ポンプ室は、100年以上もの間、八幡製鐵所へ水を供給し続けてきました。その歴史的価値と技術的価値が認められ、2015年、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、世界遺産に登録されました。
世界遺産に登録された理由は、以下の点が評価されたためです。
- 明治日本の産業革命における、製鐵業の発展を支えた重要な施設であること
- イギリス式のレンガ造りの技術が導入された、貴重な建造物であること
- 現在も稼働している、生きた産業遺産であること
見どころ
明治の面影を残すレンガ造りの建物
遠賀川水源地ポンプ室は、明治時代の建築様式を伝える貴重な建造物です。赤レンガと白い窓枠のコントラストが美しく、周囲の緑との調和も素晴らしいです。
眺望スペースから見学
ポンプ室は現在も稼働しているため、敷地内に入ることはできません。しかし、眺望スペース が設けられており、そこからポンプ室の外観を見学することができます。
世界遺産パネル展
ポンプ室の近くには、世界遺産パネル展が開催されている場所があります。パネル展示を通して、明治日本の産業革命遺産について詳しく学ぶことができます。
基本情報
項目 | 内容 |
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名称 | 遠賀川水源地ポンプ室 |
住所 | 〒809-0033 福岡県中間市土手ノ内 |
電話番号 | 093-245-4665(中間市世界遺産推進室) |
アクセス | JR「筑前垣生駅」から徒歩約25分 筑豊電鉄「希望が丘高校前駅」から徒歩約10分 |
駐車場 | あり(無料) 大型の駐車場あり(要予約) |
見学料 | 無料 |
まとめ
遠賀川水源地ポンプ室は、明治日本の産業革命遺産を象徴する建造物です。今も現役で稼働している姿は、日本の近代化を支えた技術力の高さを物語っています。ぜひ、訪れて、その歴史と技術を感じてみてください。