福岡県北九州市八幡西区にひっそりと佇む曲里の松並木。
かつての長崎街道沿いに残るこの松並木は、江戸時代の面影を今に伝える貴重な史跡です。
今回は、曲里の松並木の魅力を、歴史やアクセス情報などを交えてご紹介します。
曲里の松並木:その名前の由来
「曲里(まがり)」という地名は、その名の通り、街道が曲がっていたことに由来すると考えられています。
江戸時代、長崎街道は重要な交通路として栄え、多くの旅人が行き交っていました。
曲里の松並木は、そんな旅人たちを日差しや風雨から守る、まさに「緑のトンネル」のような存在だったのです。
江戸時代から続く、歴史の道
曲里の松並木の歴史は、江戸時代まで遡ります。
徳川幕府は、全国の街道に松や杉を植樹させました。
これは、旅人を日差しや風雪から守るため、また街道の景観を整える目的がありました。
曲里の松並木もその一つで、長崎街道の黒崎宿と木屋瀬宿の間に位置していました。
参勤交代で行き交う大名行列や長崎奉行、さらには象などの動物もこの松並木を通ったと言われています。
江戸後期の狂歌師・大田南畝(蜀山人)は、紀行文「小春紀行」の中でこの松並木周辺の様子を記述しています。
「坂を下るに赤土の岸あり。松の並木の中をゆくゆく坂を上り下りて、又坂を下りゆけば、左に黒崎の内海見ゆ。」という一節は、当時の風景を偲ばせる貴重な資料となっています。
現代に残る、貴重な史跡
昭和初期頃までは50本以上の松が残っていましたが、時代の流れとともに減少し、現在では数本のみとなっています。
そのうち江戸時代から現存する松はわずか2本です。
しかし、曲里の松並木は、今もなお、当時の面影を色濃く残しています。
昭和46年(1971年)には、北九州市指定史跡に指定され、その歴史的価値が認められました。
曲里の松並木の見どころ
- 歴史を感じる松並木: かつての街道の面影を残す松並木は、歴史ロマンを感じさせてくれます。
- 大田南畝の記述: 紀行文に描かれた風景を想像しながら散策するのもおすすめです。
- 周辺の景観: 南東には皿倉山、北東には黒崎の街並みを望むことができます。
- 黒崎の街との調和: ショッピングセンターやホテルの裏通りに位置しており、現代的な街並みの中に歴史的な景観が溶け込んでいるのが特徴です。
曲里の松並木 基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 北九州市八幡西区岸の浦二丁目6番ほか |
アクセス | JR黒崎駅から徒歩約10分 |
駐車場 | なし (近隣にコインパーキングあり) |
料金 | 無料 |
問い合わせ | 北九州市八幡西区役所まちづくり推進課 電話 093-642-1441 |
よくある質問
Q. 曲里の松並木には、何本くらいの松が残っていますか?
A. 現在では数本のみが残っています。
Q. 駐車場はありますか?
A. 専用の駐車場はありませんが、近くにコインパーキングがあります。
まとめ
曲里の松並木は、江戸時代の面影を今に伝える貴重な史跡です。
黒崎の街を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。
歴史に思いを馳せながら、静かな松並木を散策するのもおすすめです。