
今回は、フィルムカメラファンなら一度はその名を聞いたことがあるはず。
一度は生産終了の悲劇に見舞われながら、ファンの熱い要望に応えて奇跡の復活を遂げた日本の至宝、『Fujifilm NEOPAN 100 ACROS II』を徹底レビューします!
「夜景をフィルムで撮ってみたいけど、設定が難しそう…」
「世界一粒子が細かいフィルムって、一体どんな写りなの?」
そんな疑問をお持ちのあなた。
結論から言います。夜景や長時間露光(スローシャッター)を撮るなら、このフィルム一択です。
1. 基本スペック:奇跡の復活を遂げた「Made in UK」
まずは基本情報から。実はこの「II(ツー)」、パッケージをよく見ると「Made in UK」と書かれています。
| 項目 | 内容 |
| 名称 | Fujifilm NEOPAN 100 ACROS II |
| 感度 (ISO) | 100 (超微粒子・高解像度) |
| タイプ | パンクロマチック白黒ネガ |
| 技術 | Super Fine-Σ粒子技術(世界最高水準の粒状性) |
| 製造 | 英国製(レシピと品質管理は富士フイルム規格) |
生産終了により一度は消えましたが、代替原材料を確保し、イギリス(業界ではイルフォード工場と言われています)で製造することで復活しました。
しかし安心してください。その写りは、間違いなく私たちが愛した「アクロス」そのものです。
2. ここが凄い!ACROS IIの「3つの特殊能力」
① 世界最強の「長時間露光」耐性
ACROS II最大にして最強の武器。それが「相反則不軌(そうはんそくふき)が起きにくい」という点です。
難しい言葉が出ましたが、簡単に説明しますね。
普通のフィルムは、1秒以上の長いシャッタースピードになると、光を感じる力が急激に弱まるため、計算して露光時間を2倍、4倍…と長くする必要があります。
しかし、ACROS IIは「120秒(2分)」までなら、計算補正なしでそのままでOK!
- 普通のフィルム: 10秒撮りたければ、実際は30秒〜1分くらい開けないと写らない(計算が超面倒!)
- ACROS II: 10秒撮りたければ、10秒でOK。
夜景、星空、ピンホール写真において、これほど失敗しないフィルムは他に存在しません。
② 驚異的な「超・微粒子」
「世界最高水準」のキャッチコピーは伊達ではありません。
ISO 100の中でもトップクラスに粒子が細かく、スキャンした画像を見ると「これ、デジタルで撮ったの?」と錯覚するほど滑らか。
金属の質感、ビルの窓枠、風景のディテールを、カミソリのように鋭く描写します。
③ メリハリのある「和のトーン」
海外製フィルム(イルフォードなど)が「中庸なグレー」を重視するのに対し、ACROS IIは「黒は黒、白は白」とメリハリがつきます。
曇りの日でも写真が「眠く(ぼんやり)」なりにくく、スッキリとした爽やかな描写が得られます。日本人の肌の色を綺麗に見せるチューニングも健在です。
3. 徹底比較!ライバルや旧型とどう違う?
vs Kodak T-MAX 100 (米国のライバル)
同じ「超微粒子」を謳うコダックのT-MAX 100と比較してみましょう。
- Kodak T-MAX 100:
- コントラストが非常に高く、ドライで硬質な描写。
- 弱点: 長時間露光をする時は、大幅な露光時間の補正計算が必要。
- Fujifilm ACROS II:
- コントラストは高いが、どこか「湿り気」や情緒を感じるトーン。
- 強み: 2分まで補正不要。夜景撮影ならACROS IIの圧勝。
vs 初代 ACROS (旧型)
「復活して画質が変わったのでは?」と心配な方へ。
基本的には「ほぼ同じ」と考えて大丈夫です!
厳密に比較すると、IIの方が「ハイライト(明るい部分)の階調が粘るようになった」と言われています。つまり、明暗差の激しいシーンでも白飛びしにくく、より現代的に進化しているのです。
4. 作例で見るACROS IIの世界











5. 撮影・現像のワンポイントアドバイス
- 現像液について:かつての純正液(スーパープロドール等)は入手困難ですが、世界標準の「Kodak D-76」や「Ilford ID-11」で全く問題なく綺麗に現像できます。
- 夜景撮影のコツ:三脚は必須です!スマホの露出計アプリで「1秒」や「30秒」と出たら、その通りにカメラを設定してシャッターを切るだけ。難しい計算はいりません。これがACROS IIを使う最大の贅沢です。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 初心者ですが、夜景以外でも使えますか?
A. もちろんです!晴れた日の風景撮影や、建築写真にも最高です。ただ、少し値段が高いフィルムなので、ここぞという時の「勝負フィルム」として使うのがおすすめです。
Q2. イルフォードのDelta 100とはどう違いますか?
A. Delta 100の方がエッジが鋭く「カリッ」としていますが、ACROS IIの方が粒子が滑らか(クリーミー)です。スキャンしてデジタルで編集するなら、ノイズが少ないACROS IIの方が扱いやすいですよ。
Q3. どこで買えますか?
A. 供給が安定してきたため、カメラのキタムラ、ヨドバシカメラ、Amazonなどで購入可能です。一時期のような品薄は解消されつつあります。
まとめ:夜を制する、世界で唯一のフィルム。
いかがでしたか?
Fujifilm NEOPAN 100 ACROS IIは、単なる「懐古趣味」で復活したわけではありません。
「長時間露光の計算がいらない」「デジタル顔負けの微粒子」という、現代でも他の追随を許さない圧倒的な性能があるからこそ、世界中が必要としたのです。
三脚を据えて、静かに夜の光を吸い込む数分間。
現像から上がってきたネガには、肉眼よりも澄んだ世界が広がっているはずです。
さあ、今夜はACROS IIと三脚を持って、光のアートを撮りに出かけましょう!