北九州市戸畑区の閑静な住宅街に、ひときわ優美な風格を漂わせる邸宅があります。

国の重要文化財にも指定されている「旧松本家住宅(現・西日本工業倶楽部)」です。

東京駅の設計で知られる建築界の巨匠・辰野金吾が手がけたこの建物は、明治後期の「炭鉱王」たちの圧倒的な経済力と、当時の最先端デザイン「アール・ヌーヴォー」が融合した傑作です。

普段は会員制倶楽部として使用されているため、一般公開される機会はごくわずか。

幻の迎賓館とも呼べるこの場所の魅力と、見学のチャンスについてご紹介します。

1. 日本でも稀有な「アール・ヌーヴォー」建築

この邸宅は、筑豊の炭鉱経営で知られる安川敬一郎の次男・松本健次郎の自邸として、1912年(明治45年)に竣工しました。

最大の見どころは、辰野金吾が設計した「洋館」です。

  • 辰野式のイメージを覆すデザイン:辰野金吾といえば赤レンガの「辰野式」が有名ですが、ここでは当時ヨーロッパで流行していた「アール・ヌーヴォー様式」を全面的に取り入れています。
  • 曲線美の極致:植物をモチーフにした流麗な曲線デザイン、優美なステンドグラス、細部までこだわり抜かれた家具やマントルピース。どこを切り取っても絵になる、芸術的な空間が広がっています。

2. 和と洋が調和する「日本館」と庭園

洋館の奥には、渡り廊下でつながる純和風の「日本館」があります。

こちらは久保田小三郎の設計による書院造りで、華やかな洋館とは対照的に、木の温もりと静寂に包まれています。

また、これら二つの建物を包み込むように広がる日本庭園も圧巻です。起伏を生かした地形に茶室や石灯籠が配され、洋館の窓から眺める「和洋折衷」の景色は、ここでしか味わえない美しさです。

3. 年に数回のチャンス!「特別公開」を狙おう

旧松本家住宅は、現在は「西日本工業倶楽部」として企業の迎賓館や結婚式場として利用されており、原則として一般の見学はできません。

しかし、諦めるのはまだ早いです。

年に数回(春や秋など)、一般向けの「特別公開日」が設けられています。

この日は、普段は入れない館内をじっくりと鑑賞できる貴重な機会。建築ファンやレトロ愛好家にとっては見逃せないイベントとなっています。


基本情報 (Spot Info)

項目詳細
施設名旧松本家住宅(西日本工業倶楽部)
住所福岡県北九州市戸畑区一枝1丁目4-33
公開状況通常非公開(年数回の特別公開日あり)
設計洋館:辰野金吾 / 日本館:久保田小三郎
指定国指定重要文化財
電話番号093-871-1031
公式サイト西日本工業倶楽部
アクセス西鉄バス「明治学園前」バス停下車すぐ

よくある質問 (FAQ)

Q. いつ行けば中に入れますか?

A. 通常は会員制施設のため入館できません。春や秋に行われる「特別公開」の時期を公式サイト等でチェックし、事前申し込みやチケット購入が必要な場合があるため確認してください。

Q. 写真撮影はできますか?

A. 外観(庭園)からの撮影は許可されることが多いですが、館内の撮影については特別公開時のルールによります。

Q. 駐車場はありますか?

A. 施設内に駐車場はありますが、特別公開時やイベント時は大変混雑するため、公共交通機関(バス)の利用をおすすめします。


【まとめ】

明治の北九州が日本の近代化を牽引していた熱気と、洗練された美意識が宿る「旧松本家住宅」。

アール・ヌーヴォーの曲線美に酔いしれる特別な一日。ぜひ次回の公開情報をチェックして、足を運んでみてください。

By kyushutv

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