城下町・長府の歴史と自然が凝縮された場所。

下関市立美術館のすぐ向かい、小高い山を背に広がる「長府庭園」。

ここはかつて長府毛利藩の家老・西運長(にしゆきなが)の屋敷であり、その後、世界的な海運・水産会社である大洋漁業(現・マルハニチロ)の創業者一族・中部(なかべ)氏の所有となった場所です。

侍の美学と、昭和の海運王の財力が守り抜いた約3万平方メートルの日本庭園。四季折々の花と静寂に包まれる、大人の散策スポットをご紹介します。


豪商が磨き上げた「回遊式庭園」の贅沢

この庭園の最大の特徴は、池を中心にぐるりと歩いて回る**「回遊式日本庭園(かいゆうしきにほんていえん)」**というスタイルです。

  • 広大な池と滝:庭園の中心には大きな池があり、山から流れる「白糸の滝」が注ぎ込みます。池には錦鯉が優雅に泳ぎ、水面に映る木々の緑や紅葉が幻想的な風景を作り出します。
  • 書院と茶室:池のほとりには、情緒あふれる書院や茶室が配置されています。かつては進駐軍(ニュージーランド軍)の司令官宿舎としても使われた歴史があり、和と洋の歴史が交錯する不思議な空間です。

必見!孫文ゆかりの「蓮」と四季の花

長府庭園は、いつ訪れても美しい「花の庭」です。

  • 春: ソメイヨシノやヤマザクラが咲き誇り、新緑とのコントラストが見事です。
  • 夏(6月〜8月):この庭園のハイライトとも言えるのが**「孫文蓮(そんぶんれん)」**です。中国の革命家・孫文から贈られた蓮の実を育てたもので、早朝に開く神秘的な花を見るために多くの写真家が訪れます。また、3,000本の花菖蒲(ハナショウブ)も見逃せません。
  • 秋: 背後の山々と庭園のモミジが一体となって燃えるような赤に染まります。下関屈指の紅葉スポットです。

Editor’s Note: 隠れた見どころ「鯨の資料室」

園内の蔵(くら)は、かつての所有者・中部氏(大洋漁業)にちなみ**「鯨資料展示室」**として公開されています。日本庭園の中に突然現れるクジラの資料。捕鯨の街・下関ならではのユニークな展示は必見です。


基本情報 (Access & Info)

項目詳細
施設名長府庭園
住所山口県下関市長府黒門東町8-11
開園時間9:00~17:00(最終入園 16:40)
休園日12月28日~1月4日
入園料大人 210円 / 小・中学生 100円
アクセスJR「下関駅」からバス約20分、「市立美術館前」下車すぐ
JR「長府駅」からバス約10分、「市立美術館前」下車すぐ
駐車場あり(無料・約230台)
お問い合わせ083-246-4120

よくある質問 (FAQ)

Q. 庭園を回るのにどれくらい時間がかかりますか?

ゆっくり歩いて40分〜1時間程度です。写真を撮ったり、ベンチで休憩したりするなら、もう少し余裕を持つと良いでしょう。

Q. お抹茶を飲むことはできますか?

はい、園内の売店や茶室(イベント時など)でお抹茶や甘味を楽しむことができます。美しい庭を眺めながらの一服は格別です。

Q. 車椅子での利用は可能ですか?

主要な園路は舗装されていますが、一部に飛び石や階段、砂利道があります。車椅子用のルート(平坦な道)もありますので、入口でご確認ください。多目的トイレも完備されています。


【まとめ】

下関の奥座敷・長府に残された、静寂のオアシス。

歴史ある城下町の散策に疲れたら、長府庭園の木陰でひと休みしてはいかがでしょうか。

特に「紅葉の秋」と「蓮の夏」は、息をのむ美しさですよ。

By kyushutv

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