下関の奥座敷、川棚温泉から少し離れた山あいの静かな場所に、戦国時代のロマンと人々の信仰が息づくパワースポットがあります。
その名は「岩谷(いわや)の十三仏」。
かつてこの地に隠れ住んだ悲劇の武将・**大内義隆(おおうちよしたか)**公と、村人たちの絆が生んだ奇跡の物語。そして、自然の岩の上に鎮座する仏様たちは、私たちの干支(えと)を守る守護仏としても知られています。
今回は、歴史ミステリーとご利益を求めて、岩谷の十三仏を訪ねる旅へご案内します。
📜 追われた殿様と「雨乞い」の奇跡
この石仏群が生まれた背景には、ドラマチックな歴史秘話があります。
義隆公の隠棲と「ばんばら楽」
時は天文20年(1551年)。家臣・陶氏の謀反により山口を追われた大内義隆公は、この地域の「岩谷が浴八丈岩」に隠れ住んでいました。
しかし、追手は迫ります。脱出を決意した義隆公は、お世話をしてくれた村人へのお礼として、大内家秘法の巻物「ばんばら楽」を託しました。
干ばつを救った感謝の証
その後、弘治元年(1555年)ごろに大干ばつが村を襲った際、村人たちが熊野神社にこの「ばんばら楽」を奉納したところ、たちまち大雨が降り、村は救われたといいます。
この奇跡に感謝し、義隆公を供養するために、村人たちが露出した岩の上に安置したのが、この十三体の石仏なのです。
🐭 あなたの守り本尊は?「干支」を守る仏様
十三仏とは、本来、死後の世界を守護してくださる13尊の仏様のこと。
しかし、岩谷の十三仏にはもう一つの面白い特徴があります。
背中に刻まれた十二支
ここに並ぶ仏様のうち八尊は、「干支」の守護仏としても名を連ねています。
それぞれの干支に対応する石仏の背中には、なんと十二支の名が刻まれているそうです。
自分の干支の守り本尊を探して手を合わせれば、より深いご利益を感じられるかもしれません。自然の岩と一体になった素朴で力強い姿に、心が洗われるひとときを過ごせます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
川棚温泉からのアクセスも良好。歴史散策の穴場スポットです。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 岩谷の十三仏(いわやのじゅうさんぶつ) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚中小野 |
| 由緒 | 大内義隆公供養、雨乞い感謝 |
| お問い合わせ | 083-774-1211(豊浦町観光協会) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約13分、「岩谷口」下車、徒歩20分
- 【車】
- JR「川棚温泉駅」から約10分
- 中国自動車道「小月I.C」から約29分
💖 まとめ
戦国の世の逃避行、村人を救った秘法、そして感謝の祈りが込められた石仏たち。
「岩谷の十三仏」は、静かな山里に眠る、優しくも力強いパワースポットです。
川棚温泉でリフレッシュした後は、自分の干支の仏様に会いに、少し足を伸ばしてみませんか?