
今回は、世界中の学生からプロのドキュメンタリー写真家まで、最も愛されている「ド定番」フィルム。
『ILFORD HP5 PLUS』(エイチピー・ファイブ・プラス)をご紹介します!
「Kodak Tri-Xが高くて手が出ない…」
「夜のストリートで、荒々しくてカッコいい写真が撮りたい!」
そんなあなたの要望を全て叶えてくれるのが、この頼れる相棒です。
優等生なDeltaシリーズとは違う、「泥臭くて力強い」HP5+の魅力。そして、このフィルムの真骨頂である「増感撮影(Push Processing)」の世界へご案内します!
1. 基本スペック:世界標準の「400」
まずは基本スペックから。
| 項目 | 内容 |
| 名称 | ILFORD HP5 PLUS (HP5+) |
| 感度 (ISO) | 400 (公称値) |
| タイプ | パンクロマチック白黒ネガ |
| 技術 | トラディショナル・キュービック・グレイン(伝統的粒子) |
| 特徴 | どんな環境でも写る「タフさ」と、圧倒的な「増感耐性」 |
ここがポイント!
Deltaシリーズのような「整った微粒子」ではありません。昔ながらの不揃いな粒子構造をしているため、「フィルムらしいザラつき(Grain)」がしっかりと出ます。これが写真に「質感」を与えるんです。
2. ここが凄い!HP5 PLUSの「3つの武器」
① 「増感の王様」と呼ばれる圧倒的耐性
このフィルム最大の特徴は、「暗い場所でも無理やり撮れる」こと。
公称はISO 400ですが、カメラの設定をISO 800、1600、時には3200に変えて撮っても、現像時間を調整すれば驚くほど綺麗に写ります(これを増感撮影と言います)。
粒子は粗くなりますが、それが汚いノイズではなく「力強いテクスチャ」として味になる。あえてISO 1600で撮るファンが多いのも納得です。
② 編集しやすい「広いダイナミックレンジ」
コントラストは標準的で、ハイライトからシャドウまでなだらかに写ります。
「パキッとした写真」にするもよし、「眠い(柔らかい)写真」にするもよし。スキャンした後の編集で自分好みのトーンに仕上げやすい、非常に懐の深いフィルムです。
③ コストパフォーマンス最強
ライバルのKodak Tri-Xが価格高騰する中、イルフォードは比較的安定した価格を維持しています。
「練習でバシャバシャ撮りたい」「失敗を恐れずに攻めたい」という時、このコスト感は本当に助かります!
3. 徹底比較!Kodak Tri-X (400TX) vs HP5 PLUS
永遠のライバル、コダックの「トライX」とどう違うのか?
- Kodak Tri-X (400TX):
- 特徴: コントラストが高く、最初から「黒」がガツンと締まる。
- 印象: ドラマチック、ハード、アメリカンな雰囲気。
- 現状: 価格が高騰しており、ここぞという時の勝負フィルムになりがち。
- ILFORD HP5 PLUS:
- 特徴: コントラストは中庸で、シャドウの粘りが強い(暗い部分が潰れにくい)。
- 印象: 落ち着いた、トラディショナル、英国的な雰囲気。
- 強み: **どんな現像液でも失敗しにくい。**そして安い。
結論:「パンチ力」ならTri-X。「素材としての使いやすさとコスパ」ならHP5+です。
4. 作例で見るHP5 PLUSの世界












5. 撮影テクニック:HP5+を使いこなすコツ
HP5+をもっと楽しむための設定例をご紹介します。
- ISO 400 (定格):万能選手。曇りの日や室内ポートレートに。階調豊かな優しいモノクロになります。
- ISO 1600 (2段増感):HP5+の真骨頂! コントラストがグッと上がり、粒子が荒々しくなります。ストリートスナップやライブハウスの撮影なら、迷わずこの設定で。
- 現像液の選び方:基本は「ID-11 (D-76)」でOK。もし自家現像でさらにパンクな画質にしたいなら、「Rodinal」を使うと粒子がガリガリに立ってカッコいいですよ!
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 増感撮影(Push)って、お店でやってくれますか?
A. 多くの現像所(プロラボや一部の量販店)で対応してくれますが、**「増感料金」**が追加でかかる場合がほとんどです。また、納期も数日延びることがあるので、受付で「増感したいです」と必ず相談してください。
Q2. Delta 400とどっちが良いですか?
A. 「綺麗で高精細な写真」が好きならDelta 400。「粒子感があって、フィルムらしい味」が好きならHP5+を選びましょう。
Q3. 初心者でも使えますか?
A. もちろんです!ラチチュード(露出の許容範囲)が非常に広いので、露出を少々間違えても何かが写っています。「一番失敗が少ないフィルム」として学校の教材にも使われるほどですよ。
まとめ:傷だらけになっても走れる、タフな相棒。
いかがでしたか?
ILFORD HP5 PLUSは、決して「一番キレイなフィルム」ではありません。
でも、光が足りない夜でも、露出が難しい場所でも、「なんとかしてくれる」頼もしさは世界一です。
「綺麗に撮ろう」なんて思わなくていいんです。
感度を上げて、粒子を荒らして、あなたの衝動をそのままフィルムに焼き付けてみてください。
さあ、今夜はHP5+を詰めて、夜の街へ繰り出しましょう!