
「ISO 100クラスのフィルムなんて、どれも同じじゃないの?」
いいえ、全く違います!
前回紹介した『Delta 100』が「最新技術の結晶」なら、この『FP4 PLUS』は「伝統の味を守り抜く老舗の逸品」。
あえて粒子を少し残すことで生まれる「空気感」や、露出ミスを許容する「優しさ」。デジタルカメラでは絶対に真似できない、アナログ写真の原点がここにあります。
1. 基本スペック:これだけは知っておこう
まずは基本データから。
| 項目 | 内容 |
| 名称 | ILFORD FP4 PLUS (FP4+) |
| 感度 (ISO) | 125 (中感度・使いやすい絶妙な設定) |
| タイプ | パンクロマチック白黒ネガ |
| 技術 | クラシック・エマルジョン(伝統的な粒子構造) |
| フォーマット | 35mm, 120, シートフィルム |
| 位置づけ | 「迷ったらこれ」と言われる、不動のスタンダード |
💡 ここがポイント!
「ISO 125」という感度は、ISO 100よりも少しだけシャッタースピードを速く切れるので、手ブレ防止にも役立つ絶妙な数値なんですよ。
2. ここが凄い!FP4 PLUSの「3つの魅力」
① 失敗知らずの「ラチチュード(寛容さ)」
FP4+が初心者からプロまで愛される最大の理由、それは「失敗のしにくさ」です。
「ラチチュードが広い」という専門用語がありますが、これは簡単に言うと「光を受け止める許容量がめちゃくちゃ大きい」ということ。
露出計の設定を間違えて「あ、明るすぎた!」と思っても、このフィルムなら白飛びせずにデータが残っていることが多々あります。まさに**「フィルム界の守護神」**のような存在です。
② 立体感を生む「クラシックな粒状感」
現代のフィルム(DeltaやT-Max)は「ツルッとした高画質」を目指していますが、FP4+はあえて適度な「ザラつき(テクスチャ)」を残しています。
この粒子感が、被写体に独特の**「厚み」や「存在感」**を与え、写真全体に温かみをプラスしてくれます。
③ 濃厚な「中間調(ミッドトーン)」
白と黒の間の「グレー」の表現力が豊かです。
特に人物の肌のトーンや、曇りの日の風景など、微妙なグラデーションが必要なシーンで、しっとりとした美しい描写をしてくれます。
3. 徹底比較!Delta 100とどっちを選ぶ?
ここが一番の悩みどころ。同じイルフォードの低感度フィルム、どう使い分ければいいのでしょうか?
- ILFORD DELTA 100 (モダン派):
- 特徴: 超微粒子、高解像度、ツルッとした質感。
- 向いているシーン: 建築物のディテール描写、大伸ばしプリント、無機質でクールな表現。
- 注意点: 露出に少しシビア(正確さが求められる)。
- ILFORD FP4 PLUS (クラシック派):
- 特徴: 適度な粒子感、豊かな階調、温かみのある質感。
- 向いているシーン: ポートレート、スナップ、ノスタルジックな風景。
- 強み: 露出ミスにとにかく強い!
結論:「写真らしい味」や「安心感」を求めるならFP4+。「精密な記録」を求めるならDelta 100です。
4. 作例で見るILFORD FP4 PLUSの世界













5. 撮影・現像のワンポイントアドバイス
- 露出設定:基本の「ISO 125」でOKですが、晴れた日は少しオーバー気味(ISO 100設定)で撮ると、さらにシャドウが豊かになりおすすめです。
- 現像液の選び方:素直なトーンが好きなら標準の「ID-11」や「D-76」。もっとガリッとした硬派な写真にしたいなら、「Rodinal (Adonal)」という現像液を使うと、粒子が際立ってカッコいい仕上がりになりますよ!(上級者向けの裏技です)
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 曇りの日でも使えますか?
A. はい、ISO 125なので曇天でも手持ち撮影可能です。むしろ、曇りの日の柔らかい光こそ、FP4+の豊かな階調が活きる最高のシチュエーションです。
Q2. Kodak T-MAX 100とはどう違いますか?
A. T-MAX 100の方が粒子が細かくクリアですが、ハイライト(空などの明るい部分)が飛びやすい傾向があります。FP4+の方が粒子感はありますが、粘り強く、扱いやすさでは勝っています。
Q3. どこで買えますか?
A. 九州なら「カメラのキタムラ」や「タカチホカメラ」などで常に在庫がある定番フィルムです。
まとめ:迷ったら「実家のような安心感」のFP4+を選ぼう。
いかがでしたか?
ILFORD FP4 PLUSは、派手なスペックはないかもしれませんが、どんな時でも期待を裏切らない、最高のパートナーです。
デジタル写真の「完璧すぎる写り」に少し疲れたら、ぜひこのフィルムをカメラに詰めてみてください。
現像から上がってきた写真を見たとき、「ああ、これこれ!これが撮りたかったんだよ」と、きっと笑顔になれるはずです。
さあ、次の休日はFP4 PLUSを持って、のんびりと光を探す旅に出かけましょう!