国宝・仏殿への入り口にそびえ立つ、圧巻の二重門。

下関・長府の名刹「功山寺」。その境内に足を踏み入れる際、最初に訪れる人を圧倒するのが、下関市指定文化財である**「功山寺山門(こうざんじさんもん)」**です。

安永2年(1773年)に再建されたこの巨大な門は、ただの通り道ではありません。

すべて「欅(ケヤキ)」で作られた重厚な柱、空に突き刺さるような屋根の反り。

禅宗様式の美学が凝縮された、建築ファン必見のスポットをご紹介します。


1. 藩主が再建した「二重櫓造り」の威容

現在の山門は、長府藩10代藩主・**毛利匡芳(もうり まさよし)の命により、安永2年(1773年)に再建されたものです。

この門の最大の特徴は、「二重櫓(にじゅうやぐら)造り」**という堂々たる構造にあります。

  • 禅宗様式の傑作:「三間三戸二重門」と呼ばれる形式で、上層部(2階部分)を持つ立派な構えです。
  • 見事な屋根の反り:入母屋造り(いりもやづくり)、本瓦葺きの屋根を見上げてください。空に向かって鋭く、かつ優美に反り返る曲線は、日本の寺院建築の真骨頂です。

2. 細部に宿る「職人の技」

遠くから見ても立派ですが、近づいて見るとさらに驚くべき職人技が隠されています。

12本の「粽(ちまき)型」円柱

門を支える太い12本の柱(本柱4本、控柱8本)は、すべて欅(ケヤキ)の素木(しらき)で作られています。

注目すべきは柱の形。上部がわずかに丸く削られ、下部の先端が急に細くなっています。これを「粽(ちまき)型」と呼び、禅宗建築特有の繊細なデザインです。

また、これらの柱は整えられた石の上ではなく、土間に置かれた自然石の礎石の上に直接立っており、野趣あふれる力強さを感じさせます。

櫓の中に眠る「秘密」

通常、禅寺の山門の2階部分には釈迦如来や十六羅漢像が置かれることが多いですが、この功山寺山門の櫓の中には、少し変わったものが安置されています。

それは**「二十八部衆立像」**(市指定文化財)。

もともとは国宝の仏殿の中にあったものが、ここに移されました。普段は見えませんが、この門の中に多くの守護神たちが並んでいると思うと、通るだけでパワーをもらえそうです。

Editor’s Note: 「三解脱門」の意味

山門は別名「三門」とも書きます。これは「空・無相・無作」という3つの悟りの境地に至る門(三解脱門)を意味しています。

この門をくぐる時は、世俗の欲や迷いを一旦置いて、清らかな気持ちで仏殿へ向かいましょう。


基本情報 (Access & Info)

項目詳細
文化財名称功山寺山門(下関市指定有形文化財)
住所山口県下関市長府川端1丁目(功山寺境内)
建立安永2年(1773年)再建
見学自由(無料)
アクセスJR「下関駅」からバス約23分、「城下町長府」下車、徒歩約10分
駐車場あり(功山寺駐車場を利用)
お問い合わせ083-245-0258(功山寺)

よくある質問 (FAQ)

Q. 山門の2階に登ることはできますか?

いいえ、残念ながら通常は山門の上層部(櫓の中)への立ち入りや公開は行われていません。下からその壮大な構造を見上げてお楽しみください。

Q. 功山寺のどこにありますか?

「総門」と呼ばれる最初の門をくぐり、桜並木の参道をまっすぐ進んで石段を登りきった先にあります。この山門をくぐると、目の前に国宝の「仏殿」が現れます。

Q. 写真撮影のポイントは?

山門の正面から、屋根の反りと柱の重厚感を撮るのが王道ですが、**紅葉の時期(11月中旬〜12月上旬)**は、山門を通して奥の紅葉を額縁のように撮る構図も非常に人気があります。


【まとめ】

国宝・仏殿の輝きに隠れがちですが、この山門もまた、250年以上の風雪に耐え抜いた一級の文化財です。

自然石の上に立つ欅の巨木たち。

功山寺を訪れた際は、ぜひ一度立ち止まって、この「門」の凄みを感じてみてください。

By kyushutv

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