
日本の歴史を大きく変えた最強の軍隊「奇兵隊(きへいたい)」。その結成の地は、JR下関駅から徒歩圏内にひっそりと佇んでいます。
豪商・白石正一郎の支援を受け、高杉晋作が身分を超えた新しい軍隊を立ち上げた運命の場所。幕末の志士たちが集い、熱い議論を交わした「維新の拠点」を訪ねてみませんか?
高杉晋作と「奇兵隊」誕生の舞台
文久3年(1863年)6月。攘夷戦(外国船への砲撃)で敗色濃厚となっていた長州藩にあって、高杉晋作は画期的なアイデアを実行に移しました。
それが、武士だけでなく、農民や町人など**身分を問わず志のある者を集めた軍隊「奇兵隊」**の結成です。
その結成式が行われたのが、ここ**「白石正一郎旧邸」**でした。
当時の白石邸は、屋敷内に志士たちをかくまうための部屋や、秘密の抜け穴まであったと言われ、まさに革命の「アジト」のような場所だったのです。
志士を支えた「幕末のスポンサー」白石正一郎
この場所の主である白石正一郎は、竹崎の廻船問屋(かいせんどんや)を営む豪商でした。
彼はただの商人ではありません。国学を学び、勤王(きんのう)の志を持っていた彼は、西郷隆盛との出会いをきっかけに本格的に倒幕運動に参加。
- 高杉晋作
- 坂本龍馬
- 西郷隆盛
名だたる英雄たちが彼の屋敷を訪れ、彼は私財を投げ打って彼らの活動を資金面・生活面で支え続けました。彼がいなければ、奇兵隊も、そして明治維新も成し遂げられなかったかもしれません。
Editor’s Note: 現在の様子
残念ながら当時の屋敷は残っておらず、現在は中国電力下関営業所の敷地となっています。しかし、入口付近に**「奇兵隊結成の地」の石碑**や案内板が設置されており、歴史ファンが想いを馳せるスポットとなっています。
基本情報 (Access & Info)
| 項目 | 詳細 |
| 史跡名 | 白石正一郎旧邸跡(奇兵隊結成の地) |
| 住所 | 山口県下関市竹崎町3丁目8 |
| 見学 | 自由(屋外・敷地外からの見学) |
| 料金 | 無料 |
| アクセス | JR「下関駅」から徒歩約5~10分 |
| 駐車場 | なし(近隣のコインパーキングを利用) |
| お問い合わせ | 083-231-1350(下関市観光政策課) |
よくある質問 (FAQ)
Q. 建物の中に入れますか?
いいえ、入れません。現在は企業の敷地となっており、当時の屋敷などの建物は現存していません。通り沿いにある石碑と解説板の見学となります。
Q. 下関駅からは近いですか?
はい、近いです。JR下関駅から徒歩10分圏内ですので、駅周辺の散策ついでに気軽に立ち寄ることができます。「釜山門」や「グリーンモール」からも近い場所にあります。
Q. 坂本龍馬とも関係があるのですか?
はい、大ありです。坂本龍馬も白石正一郎を頼って度々この地を訪れています。龍馬の妻・お龍(りょう)も一時期、白石邸に身を寄せていたことがあります。
【まとめ】
建物こそ残っていませんが、ここが日本の夜明けを早めた「震源地」であることは間違いありません。
高杉晋作が檄を飛ばし、坂本龍馬が酒を酌み交わした場所。
下関駅近くの石碑の前で、幕末の熱気に触れてみてください。