源平合戦の舞台として有名な下関市・壇之浦(だんのうら)。
関門海峡の激しい潮の流れの中に、ぽつりと頭を出している岩があるのをご存知ですか?
その名は「烏帽子岩(えぼしいわ)」。
海難防止の守り神として漁師たちに敬われているこの岩では、毎年冬になると、神職が岩によじ登ってしめ縄を張り替える珍しい神事「しめなわ祭」が行われます。
今回は、なぜ海の中の岩にしめ縄を張るのか? その起源となった不思議な伝説と、関門海峡の冬の風物詩をご紹介します。
🦊 夢のお告げが救った?「大石」の伝説
このお祭りには、古くから伝わるドラマチックな伝説があります。
岩が倒れて災難続きに…
昔、激しい潮の流れによって、この烏帽子岩(大石)が海中に倒れてしまったことがありました。
するとその十日後から、壇ノ浦の町は大変なことに。大雨、台風、火災、疫病と、悪いことばかりが続くようになったのです。
夢枕に立った「狐」の助言
人々が困り果てていたある日、一人の老漁夫の夢枕に狐(きつね)が現れ、こう告げました。
「大石を早く起こさねば、災難は更に続くであろう」
そのお告げを聞いた町の人々は、総出で協力して大石を起こすことに成功。
すると嘘のように災害はなくなり、嵐もおさまって大漁が続くようになったといいます。
🌊 重さ20kg!迫力の「しめなわ祭」
この故事に由来して始まったのが、航海の安全と豊漁を願う「しめなわ祭」です。
- 開催時期: 毎年12月上旬
- 内容: 地元の赤間神宮の神職が海中の岩に登り、新しいしめ縄を張り替え、お神酒をまいて清めます。
- しめ縄のサイズ: 長さ5メートル、重さ20キロ
寒風吹きすさぶ関門海峡で、神職たちが足場の悪い岩の上で作業する姿は迫力満点。
冬の訪れを告げる風物詩として、多くの人々が見物に訪れます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
関門海峡の急流と、歴史ある岩の神事。
冬の下関で、古の人々の祈りに触れてみませんか?
| 項目 | 内容 |
| イベント名 | しめなわ祭(烏帽子岩) |
| 開催時期 | 毎年12月上旬 |
| 所在地 | 下関市壇之浦町6番地先(海中) |
| お問い合わせ | 083-231-4138(赤間神宮) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約12分、「みもすそ川」バス停下車、徒歩3分
💖 まとめ
人々の生活を守るために岩を起こし、祈りを捧げた伝説の祭り。
関門海峡の絶景とともに、伝統を守り続ける下関の心意気を感じてみてください。