下関市の奥座敷、川棚温泉から少し離れた中小野地区。
ここに、「頭痛持ち」の人々が救いを求めて訪れる、知る人ぞ知るパワースポットがあるのをご存知ですか?
その名は「虚無僧墓(こむそうばか)」。
かつてこの地にいた、酒好きで変わり者の僧侶にまつわる、切なくも温かい伝説が残されています。
今回は、村娘を救ったヒーローでありながら、自身の病と戦った虚無僧の物語と、不思議なご利益をご紹介します。
🍶 嫌われ者の僧侶が、命がけで「村娘」を救う!
物語の舞台は、江戸時代後期の天保年間(1830〜1843年)。
当時この村には、尺八を吹いては酒ばかり飲んでいる一人の虚無僧がいました。
「あのお坊さんは酒ばかり飲んで…」と、村人からは敬遠される存在だったといいます。
しかしある日、事件が起きます。
村の娘が山賊に襲われたのです。その時、自分の命を顧みず、命がけで娘を救い出したのが、他ならぬこの虚無僧でした。
彼はただの酔っ払いではなく、正義感を秘めた人物だったのです。
🤕 「酒を供えてくれれば…」最期の願いとご利益
実は、彼が酒を飲んでいたのには、悲しい理由がありました。
弘化3年(1846年)、虚無僧は「脳病(ひどい頭痛)」に苦しみ、痛みのあまり川棚川の河原にある大岩に何度も頭を打ち付けて倒れてしまいます。
息を引き取る間際、彼はこう言い残しました。
「私の墓を建てて酒を供えてくれれば、あなたたちの苦しみを和らげてあげよう」
村人たちは初めて、彼が頭の痛みを紛らわせるために酒を飲んでいたことを知りました。
村人たちは感謝と哀悼の意を込めて墓を建て、今では**「頭痛封じ」**のご利益がある場所として、多くの人々が参拝に訪れています。
ℹ️ 基本情報&アクセス
川棚温泉への旅の途中で、伝説の僧侶に会いに行ってみませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 虚無僧墓(こむそうばか) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚中小野 |
| ご利益 | 頭痛封じ |
| お問い合わせ | 083-774-1211(豊浦町観光協会) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約16分、「虚無僧墓」バス停下車、徒歩すぐ
- 【車】
- JR「川棚温泉駅」から約11分
- 中国自動車道「小月I.C」から約30分
💖 まとめ
村人から誤解されながらも、最期まで人々を救おうとした虚無僧。
その優しさは、今も「頭痛封じ」という形で受け継がれています。
頭痛に悩んでいる方、あるいは大切な人の健康を祈りたい方。
川棚の静かな里山で、虚無僧にお酒をお供えして、祈りを捧げてみてはいかがでしょうか?