
世界三大美女の一人にも数えられる、平安時代の歌人・小野小町(おののこまち)。
その墓と伝わる史跡が、下関市豊浦町川棚の静かな山里にあることをご存知でしょうか?
全国各地に伝説が残るミステリアスな彼女ですが、ここ川棚に残る物語は、老いゆく美貌への苦悩と、晩年の心の平穏を描いた、切なくも美しいものです。
今回は、百人一首にも詠まれた絶世の美女の伝説と、その終焉の地を巡る歴史旅へご案内します。
🌸 老いさらばえた姿を見せたくない…。美貌ゆえの流浪
解説板に残る物語によると、かつて美貌を誇った小町も、歳月とともにその容色が衰えていきました。
自尊心の強かった彼女は、老いさらばえた自分の姿を人に見られることを嫌い、都を離れて全国を流浪する旅に出たといいます。
安住の地・川棚での晩年
長い旅の末、小町がたどり着いたのが、ここ川棚の地でした。
彼女は村人たちの温かさに触れ、この地でひっそりと暮らすことを決めます。
愛用の銅鏡を片時も離さず、鏡に映る自分の姿に無常を感じながら、静かにその生涯を閉じたと伝えられています。
🪞 墓石に残る「銅鏡」の伝説
このお墓の最大の特徴は、墓石の中央にはめ込まれた丸い石です。
これは、小町が肌身離さず持っていた愛用の銅鏡を表しているといわれています。
かつて自分の美しさを映し、そして老いゆく姿をも映し出した鏡。
それは彼女の美貌の象徴であると同時に、晩年の哀愁を今に伝える形見でもあります。
ちなみに、この辺りの**「小野」という地名も、小町に由来する**と言われています。
📜 百人一首に詠まれた「美の無常」
小野小町といえば、百人一首のこの歌が有名です。
花の色は 移りにけりな いたづらに
我が身世にふる ながめせし間に
桜の花が色あせていくように、自分の容色も衰えてしまった…という嘆きを歌ったこの歌は、まさにここ川棚での彼女の心情と重なります。
華やかな伝説の裏にある、一人の女性としての切ない想いに触れられるスポットです。
ℹ️ 基本情報&アクセス
小野小町の墓は全国に点在しており、その生涯は多くの謎に包まれています。
ここ川棚の墓も、そんな歴史ロマンの一つ。川棚温泉からのアクセスも良好です。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 小野小町の墓 |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚中小野 |
| お問い合わせ | 083-774-1211(豊浦町観光協会) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約16分、「虚無僧墓」バス停下車、徒歩すぐ
- 【車】
- JR「川棚温泉駅」から約11分
- 中国自動車道「小月I.C」から約30分
💖 まとめ
美しさを極めたがゆえの孤独と、旅の果てに見つけた安息の地。
下関・川棚に残る小野小町の墓は、華やかなイメージとは違う、彼女の静かな晩年を想像させてくれます。
川棚温泉でリフレッシュした後は、歴史のミステリーに思いを馳せる散策に出かけてみませんか?