源平合戦の最後の舞台、下関・壇ノ浦。
その戦いに敗れ、滅び去ったはずの平家一門の中に、ひっそりと山あいに逃げ延びた人々がいたことをご存知でしょうか?
下関市大字高畑(たかはた)。
海を見下ろすこの地には、平家の落人たちの墓と伝えられる「平家塚(へいけづか)」が今も静かに佇んでいます。
かつては「祟りがある」と恐れられた場所ですが、現在は地元の人々に守られ、歴史と自然が調和する静寂の史跡となっています。
今回は、悲劇の歴史に思いを馳せる、大人の歴史散策へご案内します。
🏞️ 隠れ里に残る、海を見つめる墓石
壇ノ浦の合戦の後、生き残った平家の落人たちは、人目を忍んでこの高畑の里に隠れ住んだと言われています。
ひっそりと佇む五輪塔
碑の横から奥へと続く道を進むと、そこには古い五輪塔や墓石がひっそりと建てられています。
登り道の反対側や市道の向こう側にも墓石が点在しており、そのどれもが、丘の上から目の前の青い海をじっと見つめているかのようです。
故郷を想っているのか、それとも海に散った仲間を想っているのか。静かな石仏の姿に、胸が締め付けられます。
🍃 恐れられた「平家薮」と今の姿
この場所は別名「平家薮(へいけやぶ)」とも呼ばれています。
かつては、「ここに一歩でも足を踏み入れると、震えがつき、祟り(たたり)がある」と恐れられていたそうです。
落人たちの無念や警戒心が、そのような伝説を生んだのかもしれません。
地元の人々に守られて
しかし現在は、決して怖い場所ではありません。
月に一度、地元の婦人たちの手によって清掃が行われ、花や線香が手向けられています。
地元の人々の温かい手によって守られている、清らかな祈りの場所なのです。
ℹ️ 基本情報&アクセス
歴史と自然が織りなす静寂の中で、平家の物語に耳を澄ませてみませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 平家塚(へいけづか) |
| 所在地 | 下関市大字高畑(野久留米街道から600m) |
| お問い合わせ | 083-231-1350(下関市観光振興課) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約18分、「浜浦台」下車、徒歩15分
- 【車】
- 下関I.Cから約9分
💖 まとめ
都を追われ、戦に敗れ、それでもこの地で生きた平家の人々。
海を見つめ続ける墓石は、私たちに命の尊さと平和の重みを静かに語りかけてくれます。
下関観光の際は、華やかな観光地から少し足を伸ばして、この「隠れ里」を訪れてみてはいかがでしょうか。