
下関の代表的な観光名所、竜宮城のような楼門で有名な「赤間神宮」。
その境内の奥まった場所に、かつて中国・満州の地を見守り、戦後、奇跡的に日本へと帰還した神社があるのをご存知でしょうか?
その名は「大連(だいれん)神社」。
明治時代、満州国大連市の総氏神として創建され、戦後の混乱期を経て、ここ下関の地に鎮座することになった数奇な運命を持つ神社です。
今回は、歴史のロマンと平和への願いを感じる、知る人ぞ知るパワースポット「大連神社」をご紹介します。
🌊 海を渡って帰ってきた神様
大連神社はもともと、明治39年(1906年)、日露戦争後に満州(現在の中国東北部)の玄関口である大連市に創建されました。
当時、大連に暮らす多くの日本人の心の拠り所(総氏神)として親しまれていました。
宮司が守り抜いたご神体
終戦後の昭和22年(1947年)、大連神社の運命は大きく動きます。
当時の宮司であった水野久直氏の手によって、ご神体と神宝が大切に日本へと持ち帰られたのです。
混乱の中、海を渡って無事に日本へ帰り着いたことは、まさに奇跡と言えるでしょう。
帰国後は、一時福岡県の**筥崎宮(はこざきぐう)**に仮安置されましたが、その後、水野氏が赤間神宮の宮司に就任した縁で、この下関の地に祀られることになりました。
⛩️ 社殿は「伊勢神宮」からの贈り物
現在の大連神社の社殿にも、すごい秘密があります。
実はこの建物、あの伊勢神宮から譲り受けたものなのです!
昭和48年に行われた伊勢神宮の「第60回神宮式年遷宮」の際に古社殿を譲り受け、昭和55年(1980年)に現在の場所(赤間神宮本殿の北東)に移築されました。
満州からの帰還、そして伊勢神宮からの移築。二重の歴史を持つ、非常に珍しく尊い社殿です。
ℹ️ 基本情報&アクセス
赤間神宮を参拝する際は、ぜひ境内の奥まで足を運んでみてください。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 大連神社(だいれんじんじゃ) |
| 場所 | 赤間神宮 境内(本殿北東) (山口県下関市阿弥陀寺町9) |
| 拝観料 | 無料 |
| お問い合わせ | 083-231-4138(赤間神宮) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約10分、「赤間神宮前」下車すぐ
- 【車】
- 中国自動車道「下関I.C」から約15分(赤間神宮駐車場あり)
💖 まとめ
中国・大連から海を渡り、伊勢神宮の古材で再建された「大連神社」。
赤間神宮の華やかさとは対照的に、静かに佇むその姿からは、激動の時代を生き抜いた力強さと、平和への深い祈りが感じられます。
下関観光の際は、ぜひ赤間神宮とあわせてお参りし、歴史のドラマに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?