下関の奥座敷、川棚温泉。
その近くにある下小野地区に、樹齢1000年を超える巨大なクスの木が守る、神秘的な森があるのをご存知でしょうか?
その名は「霊馬の森(れいばのもり)」。
ここには、戦国時代の領主・大内義隆公に愛された名馬「雲雀毛(ひばりげ)」が眠っています。
今回は、母を求めて海を渡ったという野生の馬の伝説と、主君と共に戦い散った悲劇の物語、そして静寂に包まれた巨木のパワースポットをご紹介します。
🐎 野生の名馬「雲雀毛」の数奇な運命
物語の始まりは、天文12年(1543年)。
御崎山の牧場で生まれた一頭の馬「雲雀毛」は、幼くして母馬を失います。
母を求めて海を渡り、険しい岩山を駆け巡るその姿は、見る人々を驚嘆させました。
荒馬を乗りこなした武将
その噂は、当時の防長二州(現在の山口県など)の領主、**大内義隆(おおうちよしたか)**公の耳にも届きます。
家臣たちはこの名馬を生け捕りにしようとしますが、野生の荒馬である雲雀毛は容易には捕まりません。
最後に、金田三郎乗貞という武将がその怪力をもって、ようやく捕獲に成功したといわれています。
⚔️ 戦国の世に散った命と「クスの巨木」
調教された雲雀毛は、義隆公の愛馬として常にそばに仕えました。
しかし、天文20年(1551年)、家臣である陶晴賢(すえはるかた)の謀反により、運命は暗転します。
主君を守り、傷ついた最期
山口を追われ、各地を転戦した義隆公と雲雀毛。
川棚ヶ原での戦いにおいて、雲雀毛は深い傷を負い、その命を落としてしまいます。
愛馬の死を深く悲しんだ義隆公は、武将たちに命じ、鬱蒼と茂る大樹の下に手厚く埋葬させました。
樹齢1000年の天然記念物
雲雀毛が眠るその場所にあるのが、樹齢1000年余りと言われるクスの巨木です。
大正11年(1922年)には史蹟名勝天然記念物にも指定されました。
この森は「霊馬の森」と呼ばれ、毎年3月28日には慰霊祭が行われ、今も愛馬の魂を慰めています。
🍃 山頭火も訪れた歴史の地
森には、放浪の俳人・種田山頭火の句碑もひっそりと佇んでいます。
また周辺には、敗走した義隆公が隠れ住んだとされる「岩谷ヶ浴八丈岩」などの史跡も残されており、歴史の儚さとロマンを感じながら散策することができます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
川棚温泉から車でわずか8分。
温泉でリラックスした後に、静かな森で巨木のパワーと歴史の物語に触れてみませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 霊馬の森(れいばのもり) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚下小野 |
| 見どころ | 雲雀毛の墓、クスの巨木(天然記念物)、山頭火句碑 |
| お問い合わせ | 083-774-1211(豊浦町観光協会) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約11分、「浜井場」バス停下車、徒歩6分
- 【車】
- JR「川棚温泉駅」から約8分
- 中国自動車道「小月I.C」から約26分
💖 まとめ
母を求めて海を渡り、主君のために戦場を駆けた名馬「雲雀毛」。
樹齢1000年の巨木の下で眠るその伝説は、訪れる人に静かな感動を与えてくれます。
川棚温泉への旅の途中で、この神秘的な森に立ち寄り、悠久の時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?