源平合戦の最後の舞台、壇ノ浦。
その戦いでわずか8歳にして海に消えた幼き帝、安徳天皇の「その後」を伝える場所が、下関駅から徒歩圏内にあることをご存知ですか?
その場所は「赤間神宮小門御旅所(あかまじんぐうおどおたびしょ)」。
ここは、入水した安徳天皇のご遺体が流れ着き、人目を避けて密かに葬られたと伝えられる、悲しくも神聖な伝説の地です。
今回は、華やかな赤間神宮とは対照的に、静かに歴史の真実を伝える「小門御旅所」の由緒と、毎年5月に行われる絢爛豪華な神事についてご紹介します。
🌊 流れ着いた幼き帝。中島家による「密葬」の伝説
寿永4年(1185年)3月24日、源平船合戦(壇ノ浦の戦い)。
平家一門の滅亡とともに、二位ノ尼に抱かれて海へ入水した安徳天皇。そのご遺体は、潮流に乗ってこの「小門(おど)海峡」へと流れ着いたと伝えられています。
漁師が見つけた「やんごとなき亡骸」
網を引いていた中島家の人々(当時の漁師といわれています)が、その高貴な衣をまとったご遺体を引き上げました。
彼らは「これはただごとではない」と悟り、源氏の厳しい追及を逃れるため、密かにこの場所に仮埋葬したといわれています。
現在、赤間神宮(阿弥陀寺)に安徳天皇が祀られていますが、最初に眠りについたのは、この海峡のそばの小さな場所だったのです。
👘 時代絵巻が蘇る!5月4日の「御神幸祭」
普段はひっそりとしているこの場所も、年に一度、平安絵巻のような華やかさに包まれます。
それが、下関最大のお祭り「先帝祭(せんていさい)」の翌日、5月4日に行われる「御神幸祭(ごじんこうさい)」です。
古代衣装の行列が練り歩く
この日は、赤間神宮から御鳳輦(ごほうれん/神様の乗り物)を中心とした行列が、この小門御旅所を目指して進みます。
古代衣装に身を包んだ崇敬会員や、可愛らしい稚児たちが練り歩く姿は、平家の栄華を今に伝えるかのような美しさ。
この場所で厳かに祭事が執り行われ、安徳天皇の御霊を慰めます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
JR下関駅から徒歩15分と、散策がてら立ち寄れる距離にあります。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 赤間神宮小門御旅所(あかまじんぐうおどおたびしょ) |
| 所在地 | 下関市伊崎町2-9-21 |
| 関連行事 | 5月4日 先帝祭御神幸祭 |
| お問い合わせ | 083-231-1350(下関市観光振興課) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約2分、「竹崎」バス停下車、徒歩10分
- 【徒歩】
- JR「下関駅」から徒歩約15分
💖 まとめ
華やかな赤間神宮の陰で、ひっそりと安徳天皇の最初の眠りを守り続けてきた「小門御旅所」。
海峡の風を感じながらこの地に立つと、800年以上前の悲劇と、幼き帝を弔った人々の優しい想いが伝わってくるようです。
下関駅周辺を散策する際は、少し足を伸ばして、歴史の裏側に触れる旅をしてみませんか?