歴史の街・下関市長府。

城下町の風情が残るこの街に、ある意外な「日本初」の歴史が刻まれていることをご存知ですか?

それは、日本の伝統産業である**「養蚕(ようさん)」**。

実はここ下関は、日本における養蚕発祥の地とされているのです。

その歴史と伝統を今に伝える神事「蚕種祭(さんしゅさい)」が、毎年3月28日に忌宮神社(いみのみやじんじゃ)で執り行われます。

今回は、古代ロマンあふれる伝説と、貴重な伝統行事の魅力をご紹介します。


🐛 1800年前の贈り物。秦の始皇帝の子孫が伝えた「蚕種」

物語は今から約1800年も昔にさかのぼります。

秦の始皇帝の子孫といわれる**功満王(こまおう)**が、この地で仲哀天皇に「蚕種(さんしゅ=蚕の卵)」を献上しました。

これが、日本における養蚕の始まりと伝えられています。

山口県最大級!「蚕種渡来の地」の碑

忌宮神社の境内には、この歴史的な出来事を記念して昭和8年(1933年)に建立された**「蚕種渡来の地」の碑**がそびえ立っています。

高さ約6.3メートル、重さ約37.5トンという自然石を使った石碑は、山口県内でも最大級の大きさ。

全国からの寄付によって建てられたこの堂々たる姿は、ここが日本の絹文化のルーツであることを力強く物語っています。


🧶 毎年3月28日開催!伝統技を見る「蚕種祭」

毎年3月28日には、蚕の豊作と産業の繁栄を祈願して「蚕種祭」が開催されます。

このお祭りの見どころは、なんといっても伝統的な技の実演です。

生糸つむぎと機織りの実演

祭典では、実際に生糸をつむぐ様子や、機織(はたおり)の実演が行われます。

昔ながらの道具を使い、繊細な手つきで糸を紡ぎ出していく光景は、日本のものづくりの原点を見るかのよう。

普段はなかなか目にすることのできない貴重な養蚕文化を、間近で肌で感じることができる特別な一日です。


ℹ️ 基本情報&アクセス

歴史ある長府の街並み散策とあわせて、ぜひ訪れてみてください。

項目内容
イベント名蚕種祭(さんしゅさい)
開催日毎年3月28日
開催場所忌宮神社(山口県下関市長府宮ノ内町1-18)
見どころ蚕種渡来の地の碑、生糸つむぎ・機織りの実演
お問い合わせ083-245-1093(忌宮神社)

🚗 アクセス

  • 【バス】
    • JR「長府駅」からバスで約7分、「城下町長府」下車、徒歩5分
    • JR「下関駅」からバスで約23分、「城下町長府」下車、徒歩5分

💖 まとめ

1800年前に海を渡ってきた小さな蚕の卵が、やがて日本の着物文化を支える大きな産業へと育っていきました。

巨大な石碑を見上げ、糸を紡ぐ音に耳を傾ければ、悠久の時を超えた歴史ロマンを感じられるはずです。

春の長府で、日本のルーツに触れる旅を楽しんでみませんか?

By kyushutv

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