下関市の奥座敷として知られる「川棚温泉(かわたなおんせん)」。
肌に優しい美肌の湯として人気ですが、実はここには、古くから語り継がれる**「青龍(せいりゅう)」の伝説**があることをご存知でしょうか?
かつてこの地を守り、一度は失われ、そして奇跡的に復活した温泉と龍の物語。
今回は、温泉に浸かるのがもっと感慨深くなる、川棚温泉に秘められた深い歴史とパワースポットをご紹介します。
🐉 悲劇と奇跡。青龍と温泉の始まり
物語はずっと昔、この地がまだ深い森だった頃にさかのぼります。
そこには**水の神様として一匹の「青龍」**が住む泉があり、どんな日照りでも枯れることなく、人々の生活を豊かに潤していました。
大地震と温泉の湧出
しかし、ある日突然の大地震がこの地を襲います。
泉は埋まり、住処を失った青龍は悲しみのあまり亡くなってしまいました。その後、困り果てた村人が青龍を祀り、泉の跡地を掘ってみると……なんとそこから温泉が湧き出したのです。
不思議なことに、このお湯を浴びた人々は病気が治り、元気を取り戻したといいます。これが川棚温泉の始まりと言われています。
🙏 夢のお告げで復活!薬師如来と怡雲和尚
時は流れて応永年間(1394〜1427年)。
一度は枯れてしまっていた温泉ですが、この地を再び日照りと疫病が襲った時、奇跡が起きます。
薬師如来の導き
人々を救いたいと祈り続けた三恵寺の怡雲(いうん)和尚の夢枕に、薬師如来が現れました。
薬師如来は、かつての青龍伝説と不思議な温泉の物語を告げます。
そのお告げを信じて和尚と村人が地面を掘り起こすと、見事に温泉が復活!
その湯は再び多くの人々の病気を治し、村に平穏を取り戻しました。以来、村人たちは**青龍を温泉と村の「守護神」**として大切に祀り続けています。
⛩️ 今も息づく伝説。「松尾神社」と「青龍湖」
この伝説は、形を変えて現在の川棚温泉にも息づいています。
守護神を祀る「松尾神社(青龍権現)」
温泉街にある「松尾神社」は、かつて青龍権現とも呼ばれていました。
ここでは京都の松尾神社からの御分霊とともに、温泉の源に住んでいた青龍もあわせて祀られていると伝えられています。
温泉が枯れることなく湧き続けているのは、今も青龍が守ってくれているからかもしれません。
新たなシンボル「青龍湖」
また、平成13年(2001年)に完成した舟郡(ふなごおり)ダムは、この伝説にあやかって「青龍湖(せいりゅうこ)」と名付けられました。
伝説は現代にも引き継がれ、地域の人々に愛され続けています。
ℹ️ 基本情報&アクセス
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 川棚温泉(青龍伝説・松尾神社) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚湯町 |
| お問い合わせ | 083-772-0296(川棚温泉観光協会) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約4分、「川棚温泉」下車すぐ
- 【車】
- 下関I.Cから約32分
- 小月I.Cから約27分
💖 まとめ
村を守るために尽くした青龍と、それを大切に守り抜いてきた人々の祈り。
川棚温泉の温かいお湯には、そんな深い物語が溶け込んでいます。
次の休日は、伝説の守護神「青龍」に見守られた名湯で、心も体も癒やされる旅に出かけてみませんか?