下関市の山間、豊かな自然に囲まれた場所に、明治時代から市民の喉を潤し続けている美しい水源地があります。
その名は「内日(うつい)水道水源池」。
湖面に浮かぶ取水塔など、明治末期から昭和初期にかけて造られたレトロな水道施設が、今もなお現役で稼働している貴重なスポットです。
今回は、英国人技師が選んだ「最適な水」の物語と、近代化の歴史を感じる水辺の風景をご紹介します。
🇬🇧 英国人技師バルトンが見つけた「最適地」
この水源地の歴史は、明治24年(1891年)にまでさかのぼります。
当時、近代的な上水道の建設を目指していた下関市は、内務省の技師でイギリス人のウイリアム・K・バルトンに調査を依頼しました。
彼が調査の結果、「上水道の水源地として最適である」と報告したのが、当時の豊浦郡内日村の一ノ瀬(現在の場所)でした。
その後、日清戦争の影響などで着工は遅れましたが、明治34年(1901年)についに工事が始まり、4年の歳月を経て完成。
明治39年(1906年)の元旦、ついに待望の給水が開始されました。
💧 街の発展とともに。「第二貯水池」の建設
給水開始後、下関市は都市として大きく発展していきました。
それに伴い、水の需要も多様化し、増加の一途をたどります。
そこで、最初につくられた内日貯水池からさらに500mほど上流に、「第二貯水池」が築造されることになりました。
大正14年(1925年)に着工し、昭和4年(1929年)に完成。
こうして、明治と昭和、二つの時代に造られた貯水池が、今も変わらず美しい水を湛えているのです。
🏛️ 水面に浮かぶ「近代化遺産」の美しさ
内日水道水源池の魅力は、その機能美にあります。
静かな水面に佇む取水塔や堰堤(えんてい)は、当時の土木技術の粋を集めた重厚なデザイン。
周囲の自然と調和したその姿は、四季折々に美しい表情を見せてくれます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
新下関駅からバスで約20分。
歴史のロマンと、清らかな水辺の空気に癒やされに行きませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 内日水道水源池(うついすいどうすいげんち) |
| 所在地 | 下関市内日町 |
| 歴史 | 明治39年給水開始(第一)、昭和4年完成(第二) |
| お問い合わせ | 083-231-1350(下関市観光振興課) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「新下関駅」からバスで約20分、「一之瀬」バス停下車、すぐ
💖 まとめ
100年以上も前から下関の暮らしを支え続ける「内日水道水源池」。
英国人技師の選んだ地で、明治・大正・昭和と受け継がれてきた「水」の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。