
下関市綾羅木(あやらぎ)の静かな住宅街に、日本の幕末と中国の清朝末期、激動の歴史を背負った二つの魂が寄り添うように祀られている場所があります。
その名は「中山神社(なかやまじんじゃ)」と、その境内にある「愛新覚羅社(あいしんかくらしゃ)」。
明治維新の先駆者である公卿と、映画『ラストエンペラー』でも知られる清朝皇帝の弟。
時代も国も越えて、不思議な縁で結ばれたこの聖地の歴史ミステリーをご紹介します。
⚔️ 明治天皇の叔父!幕末の風雲児「中山忠光」
中山神社の祭神は、**中山忠光(なかやまただみつ)**という人物です。
彼はなんと、明治天皇の叔父にあたる高貴な身分の公卿でした。
尊王攘夷に燃えた若き貴公子
公家でありながら武芸を好み、尊王攘夷(そんのうじょうい)運動に身を投じた「幕末の風雲児」。
天誅組(てんちゅうぐみ)の変などで活躍しましたが、元治元年(1864年)、逃げ延びた長州藩で俗論党(保守派)によって暗殺されてしまいます。
中山神社は、志半ばで倒れた彼の遺志を継ぎ、その精神を後世に伝えるために建立されました。
🇨🇳 ラストエンペラーの弟と「流転の王妃」
境内にひっそりと佇む「愛新覚羅社」。
ここには、清朝最後の皇帝・溥儀(ふぎ)の弟である**愛新覚羅溥傑(あいしんかくらふけつ)と、その妻・浩(ひろ)、そして長女の慧生(えいせい)**が祀られています。
忠光と浩の深いつながり
なぜ、中国皇族の社がここにあるのでしょうか?
実は、妻の浩(嵯峨浩)は、**中山忠光の曾孫(ひまご)**にあたるのです。
国境を超えた政略結婚、満州国の崩壊、離れ離れの日々…。『流転の王妃』として知られる浩と溥傑の数奇な運命は、最終的に祖先である忠光のそばで安らぎを得ることとなりました。
ここは、日中両国の歴史と絆を今に伝える貴重な場所です。
ℹ️ 基本情報&アクセス
綾羅木駅から徒歩圏内。歴史ファンならずとも訪れておきたいパワースポットです。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 中山神社・愛新覚羅社 |
| 所在地 | 下関市綾羅木本町7-10-8 |
| 祭神 | 中山忠光、愛新覚羅溥傑・浩・慧生 |
| お問い合わせ | 083-253-0704 |
🚗 アクセス
- 【電車】
- JR山陰本線「綾羅木(あやらぎ)駅」から徒歩12分
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約31分、「綾羅木中山神社前」下車、すぐ
- 【車】
- 下関ICから約25分
💖 まとめ
幕末の志士たちの熱い想いと、日中両国の激動の歴史を生き抜いた家族の愛。
中山神社と愛新覚羅社は、静かな境内で私たちに歴史の深さと平和の尊さを語りかけてくれます。
下関を訪れた際は、この不思議な縁で結ばれた聖地に、ぜひ足を運んでみてください。