美しい響灘(ひびきなだ)に面した下関市豊浦町の海岸砂丘。
ここに、弥生時代の人々の死生観とミステリーを今に伝える貴重な史跡「中ノ浜遺跡(なかのはまいせき)」があります。
昭和35年に発見され、現在はきれいに整備された墓地公園として公開されているこの場所。
「手を切り離して埋葬?」「お墓の上に貝?」など、当時の不思議な習俗が垣間見える歴史スポットをご紹介します。
⚱️ 多様なスタイル!弥生前期~中期の「お墓の博物館」
中ノ浜遺跡は、弥生時代の前期から中期初頭にかけて築かれた埋葬遺跡です。
ここの特徴は、なんといってもお墓の種類の多さです。
- 土壙墓(どこうぼ): 地面を掘りくぼめたシンプルなお墓
- 箱式石棺墓(はこしきせっかんぼ): 板石を箱状に組み合わせたお墓
- 甕棺墓(かめかんぼ): 大きな壺にお骨を納めるお墓
- 集骨葬: 施設を伴わないお墓
様々なスタイルのお墓が混在しており、作られた時期やグループの違いを表していると考えられています。
🤔 なぜ?ミステリアスな埋葬の習俗
この遺跡からは、当時の社会や精神世界を知る手がかりとなる、ちょっと不思議な埋葬例が見つかっています。
- 手を切り離した例: 遺体の手の部分を切り離して埋葬していた例
- 二枚貝を置く: 埋葬の上に二枚貝の片方を置いた例
- 白い砂で覆う: 花崗岩が風化した白い砂で埋葬を覆った例
これらが何を意味するのか、想像力をかきたてられますね。
🗺️ 「土井ヶ浜」や「綾羅木」とも繋がっていた?
響灘沿岸には、北に有名な「土井ヶ浜遺跡」、南に「綾羅木郷(あやらぎごう)遺跡」という大きな国指定史跡があります。
中ノ浜遺跡からは土井ヶ浜遺跡式の土器も出土しており、これらの地域の人々には何らかの交流や関係があったと思われます。
古代のネットワークに思いを馳せてみるのも一興です。
ℹ️ 基本情報&アクセス
現在は墓地公園として整備され、一般公開されています。
川棚温泉からも近いので、歴史散策の立ち寄りスポットとしておすすめです。
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 中ノ浜遺跡(なかのはまいせき) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚 |
| 指定 | 山口県指定史跡 |
| お問い合わせ | 083-774-1211(豊浦町観光協会) |
🚗 アクセス
- 【車】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」から約5分
- 中国自動車道「小月I.C」から約31分
- 【徒歩】
- JR「川棚温泉駅」から約26分
💖 まとめ
響灘の風を感じながら、古代の人々の祈りや暮らしの跡に触れられる「中ノ浜遺跡」。
教科書には載っていない、弥生時代のリアルな空気を体感しに行ってみませんか?