川棚温泉を見下ろす静かな山腹に、温泉街の恩人とも言える和尚が開いた古刹があるのをご存知ですか?
その名は「三恵寺(さんねじ)」。
寿永年間(平安時代末期)に再興されたこのお寺には、川棚温泉の復活にまつわる不思議な伝説や、70年に一度しか会えない秘仏、さらには「カニ退治」や「唐の国の火消し」といったユニークな逸話が数多く残されています。
今回は、温泉の守り神ともいえる名刹・三恵寺の奥深い魅力をご紹介します。
♨️ お告げで温泉を掘り当てた!?「怡雲和尚」の伝説
三恵寺を語る上で欠かせないのが、中興の祖である怡雲(いうん)和尚です。
伝説によると、かつて埋もれてしまっていた川棚温泉を、観世音のお告げに従って再開発(復興)したのが、この怡雲和尚だったと伝えられています。
私たちが今、川棚の名湯を楽しめるのは、和尚のおかげかもしれません。
温泉街の歴史と深く結びついた、感謝すべきパワースポットなのです。
🙏 70年に一度の秘仏!「木造千手観音菩薩」
本堂に祀られているご本尊は、木造千手観音菩薩立像です。
平安時代後期(11世紀末〜12世紀初頭)の作とされる歴史ある仏像で、山口県の有形文化財にも指定されています。
しかし、普段はそのお姿を見ることはできません。
なんと70年に一度だけ御開帳される秘仏なのです。
長い時を超えて守り継がれる観音様の神秘的なパワーを感じてみてください。
🦀 カニ退治に遠隔消火!?境内の不思議スポット
三恵寺の境内には、和尚の法力にまつわるユニークな伝説のスポットが点在しています。
- 蟹ヶ池(かにがいけ): 和尚が悪さをするカニを退治したと伝わる池。
- 国見岩(くにみいわ): ここから真言の秘法(水印の行)を行い、はるか遠く「唐の国」の火事を消したという驚きの伝説が残る岩。
- 三尊石: 川棚温泉の守護を祈った石。
- 天降竹: 天から降りてきたとされる竹。
和尚が即身成仏を遂げたとされる「奥の院」などもあり、境内を巡れば数々の伝説に触れることができます。
ℹ️ 基本情報&アクセス
川棚温泉街から少し足を伸ばして、静寂な山寺で歴史ロマンに浸ってみませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 三恵寺(さんねじ) |
| 所在地 | 下関市豊浦町川棚湯町 |
| 文化財 | 木造千手観音菩薩立像(県指定有形文化財・秘仏) |
| お問い合わせ | 083-772-4001(豊浦総合支所地域振興課) |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR山陰本線「川棚温泉駅」からバスで約4分、「川棚温泉」下車、徒歩約22分
- 【車】
- JR「川棚温泉駅」から約6分
- 下関I.Cから約34分、小月I.Cから約26分
💖 まとめ
温泉を復活させた高僧の伝説と、貴重な秘仏を守る「三恵寺」。
川棚温泉のお湯に浸かった後は、そのルーツとも言えるこの場所を訪れ、感謝の祈りを捧げてみてはいかがでしょうか?