1.いつもの路地裏や通り道が美しいことに気づかされる

 

九州テレビ特派員の空きれいです。今回は私が写真を撮影し始めてよかったことを5つほどご紹介したいと思います。

写真を撮影し始める前、私にとって路地裏は汚くて通りずらく、いつもの通り道はただ平坦で通り過ぎるものでした。
しかし、写真を撮影しながらよく見て歩くと、そこには様々なディティールや人々の痕跡、光と影と時間の交差などあらゆるものが入り混じってなんとも美しいものだと気づかられました。

しかも常に変化し続けて同じ瞬間などありません。なんて美しいことでしょうか?

 

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2.カメラはiPhoneだけではないと知ることができた

 

私はiPhoneをかれこれ5年以上使い続けています。iPhoneのカメラは優秀なので絵ハガキサイズのプリントならミラーレスと変わらないかもしれません。

しかし、一眼レフを初めて使用して知ったのは、画質の良さ。iPhoneでピクセル単位まで拡大しても解像してノイズが入っていません。引き延ばしてポスターサイズの印刷も劣化を感じさせませんでした。

別にiPhoneがダメという話ではなく、一眼レフやミラーレスにも意味があるということです。

 

3.PhotoShopは悪ではない

昔の私は、Photoshopには懐疑的で「プロが仕事で使うもの」「写真をレタッチしてある種の改竄するためのツール」という恐ろしい認識を持っていました。

仕事や趣味で使っていくうちに分かってきたのは、「Photoshopでできることは昔の現像やレタッチ技術でも再現できる」ということです。

事実、Photoshopはかつての暗室ワークを元に生まれたのです。逆に言えば、昔の写真家もPhotoshopと同じような現像とレタッチをしてきたわけです。それがただアナログかデジタルかの違いに過ぎないということを知って私は認識を改めました。Photoshopは悪ではない。暗室ワークの現代進行形であると。

 

4.モノクロームの魅力は光と時間の記録という写真の本質をストレートに表現できること

 

現在のカメラでは、モノクロはカラーから色を抜いたものに過ぎない。むしろカラーで撮影して現像するときにモノクロ化した方が画質がいいです。だからある時期までモノクロの魅力を理解できていませんでした。

私が写真とは何かと行き詰って撮影するのが億劫になった時期、ある写真家の本に出会いました。

森山大道さんの「光と影」です。中古のカメラで撮影されたモノクロ写真は、私の知るものとまるで異なり、どこか時間を超越した何かをそこに見出しました。今でありながら、過去も未来も混在する強烈な感光フェチズム写真です。

そして、私はそういった写真はどうしたら撮れるのか調べました。どうやら森山大道さんは、過去の写真家から見出したようですので、私もいろいろと過去の偉大な写真家たちの写真集を読みました。ウィリアムクラインアジェマグナムフォトの写真家たち…。

そして気づかされたのは、写真は時間が経って、思想やキャプションが無くなっても写真であるという事実です。いいものはいいのです。そしてそこには光と時間が残っていました。そしてそれを一番ストレートに表現できるのがモノクロ写真だと。以後私は必ずモノクロ写真を撮るように心がけています。

 

5.フィルム写真の魅力とデジタル写真の利点が混じり合うとき、良いものが生まれる

近年、スマホで撮った写真をアプリでフィルム風にすることが流行しています。

私は、デジタルの写真はノイズの少なさと解像度にあると思っていたので、最初はあまり興味がありませんでしたが、ある日ある人から「この音楽アルバムはいいよ」と教えて頂き聴いてみました。

ジャン・ミッシェル・ジャールというフランスの有名な音楽家のアルバム「 electronica 2: the heart of noise」です。そのアルバムには、ペットショップボーイズシンディーローパーゲイリーニューマンなど音楽業界の大物たちとのコラボレーションしたという点で私はまず惹かれて聴きました。

そしてまず驚かされたのは、分厚いアナログシンセの音と現在的なあらゆるジャンルの音楽が違和感なく同居していたということです。現代と過去は決してそりの合わない関係ではなく、使いようによっては超一流の良いものが生まれえるということです。

例として、セバスチャン・サルガドという「神の眼」とも呼ばれる有名な写真家がいます。彼は報道写真家として世界的に大変著名な人です。かつてはトライXというフィルムを使用していたことで有名でしたが、今はデジタルカメラを使用しているようです。

ようするに、彼ほどの写真家でもデジタルカメラを使用しているのです。そして彼のある写真集では初期のものから現在のデジタルまで網羅していたのですが、全く違和感がなく、むしろ互いを補完しているように感じました。

アナログとデジタルが混じり合うときに良いものが生まれる、これは写真だけではなくあらゆるジャンルに適応されると思います。

Photo&Writing :九州テレビ特派員 空きれい