下関市の唐戸エリアに鎮座する「亀山八幡宮(かめやまはちまんぐう)」。
「カメ山」という愛称や、世界最大のふくの像があることで有名な神社ですが、ここにはある一人の女性の、悲しくも美しい伝説が語り継がれています。
その女性の名は、お亀(おかめ)。
かつて人柱となり、荒れ狂う海を鎮めた遊女の物語と、彼女を祀る「お亀銀杏(おかめいちょう)」のパワースポットとしての魅力をご紹介します。
🌊 激流を鎮めるために。遊女「お亀」の決断
物語の舞台は、江戸時代初期。
当時、亀山八幡宮の一帯は島でしたが、街の発展のために陸続きにする埋め立て工事が行われていました。
しかし、関門海峡の急流によって埋めても埋めても土砂が流され、工事は難航を極めます。そこで、ついに「人柱(ひとばしら)」を立てることが決まりました。
「私の命が役に立つなら」
その時、自ら名乗り出たのが、稲荷町(現在の赤間町)の遊女「お亀」でした。
彼女は疱瘡(ほうそう)を患い、顔にアバタ(痕)が残っていたといいます。
「自分の命が町の人々の役に立つなら」と、お亀は尊い決断を下しました。
月明かりの夜、白衣に身を包んだお亀は海へと消えていきました。すると不思議なことに潮の流れは穏やかになり、工事は無事に完成したと伝えられています。
🍂 無病息災のパワースポット「お亀銀杏」
人々はお亀の功績を称え、境内にイチョウの木を植えて「お亀イチョウ」と名付けました。
アバタ模様の銀杏
不思議なことに、このイチョウは秋になると「無数の斑点」がある実をつけることから、「お亀ギンナン」と呼ばれるようになりました。
この斑点は、お亀さんの顔のアバタの名残だと言い伝えられています。
ご利益
明治時代には天然痘除けのお守りとして信仰されましたが、現在では無病息災、延命長寿のご利益があるとして人気を集めています。
💃 博多どんたくのルーツ?「八丁浜踊り」
お亀の犠牲によって埋め立てられた浜は「八丁浜(はっちょうはま)」と呼ばれました。
毎年5月の五穀祭では、彼女の功績を称える「八丁浜踊り」が奉納されます。
「八丁浜エラヤッチャ」という独特の囃子に合わせて杓文字(しゃもじ)を叩きながら踊るこの祭りは、実は福岡の**「博多どんたく」のルーツ**とも言われています。
ℹ️ 基本情報&アクセス
唐戸市場やカモンワーフからもすぐ近く。
観光の合間に、亀山八幡宮へお参りして、お亀さんの伝説に触れてみませんか?
| 項目 | 内容 |
| スポット名 | 亀山八幡宮(おかめ明神・お亀銀杏) |
| 所在地 | 下関市中之町1-1 |
| ご利益 | 無病息災、延命長寿 |
| お問い合わせ | 083-231-1323 |
🚗 アクセス
- 【バス】
- JR「下関駅」からバスで約7分、「唐戸」バス停下車、徒歩5分
💖 まとめ
悲劇的な人柱の伝説と、それを感謝し続ける人々の想いが詰まった「お亀銀杏」。
亀山八幡宮を訪れた際は、海を見下ろす境内にあるイチョウの木やお亀明神に、静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。